スペイン南東部のネアンデルタール人骨
スペイン南東部のネアンデルタール人骨の分析・比較についての研究(Walker et al., 2011)の要約を読みました。この研究では、スペイン南東部のシマデラスパロマス(Sima de las Palomas)における2006年~2007年にかけての発掘で発見された、海洋酸素同位体ステージ3の時期の小柄なネアンデルタール人の成人女性の骨が分析・比較されています。これまで、ネアンデルタール人の地理的変異の問題は、地中海に面したヨーロッパ南部の人骨が少なく、完全な後頭蓋の欠如もあり、研究が妨げられてきたところがあります。
シマデラスパロマスで発見されたこの女性人骨は、下顎・歯・後頭蓋などで、ネアンデルタール人と他の古代型ホモ属の特徴を有しており、同時代および後の時代の初期現生人類とは区別されます。この女性の下肢は、後期更新世のホモ属に見られる頑丈さを示しており、その上肢はネアンデルタール人のパターンと一致します。この女性の身体比は、海洋酸素同位体ステージ3の南部イベリアという温暖な気候下にいたにも関わらず、相対的な鎖骨の長さや身長・体重比も含めて、北方のネアンデルタール人の「寒冷適応」パターンに一致します。この女性人骨は、ネアンデルタール人の起源や地理的変異を考察するにあたって、たいへん貴重だと言えるでしょう。
参考文献:
Walker MJ. et al.(2011): Morphology, body proportions, and postcranial hypertrophy of a female Neandertal from the Sima de las Palomas, southeastern Spain. PNAS, 108, 25, 10087-10091.
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1107318108
シマデラスパロマスで発見されたこの女性人骨は、下顎・歯・後頭蓋などで、ネアンデルタール人と他の古代型ホモ属の特徴を有しており、同時代および後の時代の初期現生人類とは区別されます。この女性の下肢は、後期更新世のホモ属に見られる頑丈さを示しており、その上肢はネアンデルタール人のパターンと一致します。この女性の身体比は、海洋酸素同位体ステージ3の南部イベリアという温暖な気候下にいたにも関わらず、相対的な鎖骨の長さや身長・体重比も含めて、北方のネアンデルタール人の「寒冷適応」パターンに一致します。この女性人骨は、ネアンデルタール人の起源や地理的変異を考察するにあたって、たいへん貴重だと言えるでしょう。
参考文献:
Walker MJ. et al.(2011): Morphology, body proportions, and postcranial hypertrophy of a female Neandertal from the Sima de las Palomas, southeastern Spain. PNAS, 108, 25, 10087-10091.
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1107318108
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