大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』第33回「徳川の嫁」

 加藤清正など著名な人物が登場し、三成襲撃事件など関ヶ原前夜の政治情勢が描かれましたが、これまでまったく触れられなかった人が多かったので、やはり唐突な感は否めませんでした。三成襲撃事件は通俗的な見解が採用されていましたし、そもそもこの時期の政治状況を豊臣対徳川という対立軸で把握してよいのか、当事者たちの認識はどうだったかの、という問題もあるわけですが、今回のような解釈でも、ドラマとして成立し、面白さ・深さを感じさせられるような構成であれば、大河ドラマとしてはとくに問題はないように思います。もっとも、唐突な感の否めない場面の多いこの作品は、この点で成功したとは言い難いと思いますが。

 豊臣政権の大物としての前田利家も突如として登場し、わずかな見せ場があっただけで、今回での退場となりましたが、実は、前田利家は序盤に登場しています(一回だけだったと記憶しています)。ほとんどの視聴者は忘れているでしょうが、なぜか私は利家のことがずっと気にかかっており、再登場はいつなのだろうか、思っていました。序盤と今回では利家を演じる人が違っていたのですが、わずかな場面だけの唐突な出演ならば、わざわざ利家を登場させずともよかったように思います。

 前回、江が江戸城に移り、役者頼みとはいえ存在感のある、秀忠の乳母である大姥局との確執に時間が割かれるようになりましたが、ドラマとしては、史実準拠であろうと意図した場面よりも、ましな出来になりそうです。もう、関ヶ原も大坂の陣も戦闘場面はすべて語りですませて、江と大姥局や少し後に登場する春日局との確執(それが史実だった否かはともかく)を中心に描くくらいに開き直ったほうが、ドラマとしては少しでもましな出来になるのではないか、とも思います。

 今回、もう一つ気になったのは、茶々の侍女のサキが大蔵卿局と名を改めたことで、これまで、その背景がほとんどまったく説明されず、存在感の薄かったサキが大蔵卿局なのか、判断に迷っていました。この件もそうですが、関ヶ原後は大蔵卿局の息子の大野治長が重要な役割を担うようなので、もっと早くから多少は触れておくべきなのではないか、と思います。確か、放送開始前にネットで得た情報では、治長は茶々に想いを寄せているという設定で、かなり重要な役だと記憶しているのですが、三成とキャラが被りそうだということで、関ヶ原前の登場はなくなったのでしょうか。

この記事へのコメント

みら
2011年08月29日 00:15
こんばんわ
かなりやけくそ気味なコメントで?・・気持ちは理解できるような気は致します。
前田は確かに序盤チラッとテロップ紹介と顔が出たことは覚えています(私も)
山本圭?でした?
なんだか地デジ画面になってから小さいし、おまけに今日はメガネなしで見てたんで良く見えなくてキャスト変わってたんですか?あまりに無謀・・。

もう、何もかもがひどくてコメントしようかありませんが、今回から家康登場が多くなるので何となく普通の歴史ドラマ風な展開ではありましたね。
しかし・・加賀まりこの存在は怖い(笑)
あの声が聞こえると私も江とともに「出たっ~!」とつぶやいでしまいます(笑)

豆ひろいは・・名シーンですね、描きたかったんでしょうね~。
2011年08月29日 22:45
今回の利家役は大出俊氏でした。『天地人』でも武田家の重臣役で少しだけ登場しており、このところ大河ドラマでは作品に恵まれていません。
みら
2011年08月30日 02:04
あ、大出俊でしたか…山本圭とこの二人よく似てましたが。

大出俊は、時代劇専門ぽくて、必殺によく出ていた記憶が…。

今回、高台院と淀の決別シーンで、最近は大竹しのぶが何故か若々しくなったのは、今舞台で若手男優を相手に毒を演じているので、妙に、生々しくて…

駅のポスターを見る度に「うぇっ」と思う笑。
2011年08月30日 23:43
大出俊氏は、時代劇の印象が強いのですが、『太陽にほえろ!』でも何回かメインゲストで出演していた、と記憶しています。

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  • 江 -姫たちの戦国- 第33回「徳川の嫁」

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