大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』第28回「秀忠に嫁げ」

 タイトルから、秀次事件はあっさりと描かれ、江と秀忠との婚姻の話が軸になるのかと予想していたので、秀次の切腹にかなり時間が割かれ、秀次が実質的に主役と言ってもよいくらいの存在感を示したのは意外でした。もうすっかり期待値が下がってしまったので、予想以上に見られた回になりました。もっとも、これは、秀次役の北村有起哉氏の力量によるところが大きいと思いますが。悪い意味で、昨年の『龍馬伝』よりもはるかに、役者の力量に依存した出来になっており、それは、脚本だけではなく、演出の問題でもあるのだろう、と思います。北村有起哉氏が次に大河ドラマに出演する時は、もっと出来のよい脚本だとよいのですが。

 ここまで秀次に見せ場を用意するのであれば、もっと早くから秀次の人物像を丁寧に描いておけばよかったのに、とつい愚痴をこぼしてしまうのですが、本当に人間模様の描けていない脚本だなあ、と思います。おそらく、秀次事件を、悪辣で冷酷な悪役としての秀吉を印象づけるためだけに取り上げようとしているので、そうなってしまうのでしょう。次回からは、江と秀忠の関係が本格的に描かれることになり、本来はこれからますます盛り上がるところなのでしょうが、これまでの出来から考えて、江と秀忠の場面には期待できそうになく、茶々と秀頼の生き様がどのように描かれるのか、ということに注目しています。

この記事へのコメント

みら
2011年07月25日 21:48
こんばんわ

たしかに、人物の重要度と見せ場のバランスが悪いですよね。
三成もかなりの悪人に描かれてますし萩原聖人を嫌いになりそうです(笑)

秀次のキャラが、今までで一番史実に近いのでは?きっと創作に気合が入っていない結果がむしろ良かったとか。
なんか彼、文系の男子にピッタリですね、北村和夫の息子だったんですね~。親子全然違うムードなので気が付きませんでした。

・・二代将軍の冷めたキャラは嫌かな~。

狂気秀吉は結構名演で今までよりずっといい様な・・。

『独眼竜』の最上は原田さんでしたね、思い出しました。あの作品と比べると「・・・」言葉が出ないワラ。
2011年07月25日 21:56
秀吉の狂気も、それまでの魅力を描いてこそ活きてくると思うのですが、この作品の秀吉は最初からずっと魅力的に描かれていないのが残念です。

『黄金の日日』の秀吉は、緒形拳氏の名演もあり、その点では見応えがありました。
みら
2011年07月26日 11:15
こんにちわ

もしかして、今回あたりから別人が担当してるのでは?これから面白くなっていけば、ゴーストライターがいてもいいように思うんだけど。

『黄金の日々』昨年NHKオンデマンドで視聴しようと思いましたが・・あの頃の緒方拳はかなり若いですよね。まさにイメージ通りの「猿」そのものでした。
数々の名優が演じてきたけど、今回は意図的に悪役として描いているのでしょうね、このままだと次世代に伝える秀吉像は変わりそうです。
かつて大河は主役の一生を追うストーリーでしたから人物伝としても楽しめたのですが、今は違いすぎてつまらないのかな。

江は今後も「お尋ねしたいことがあります」といいながら色々な人にインタビューしていくのでしょうね。
「お江」を取り上げた初の作品なのですから、主役を丁寧に扱って事象を描いてくれればそれだけでいいのにって思います。
消化しきれないイライラがいつまでも募ってゆく感がありますね~。

来年もこんなんかな~
2011年07月26日 23:35
悪役としての秀吉という人物造形は分かるのですが、『黄金の日日』のように、魅力と大物感も描いてもらいたかった、と残念でなりません。

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    Excerpt: 秀吉を演じる岸谷五朗さんも段々眉毛がなくなり年老いた役柄に変わっていきます。それとともにかつてのような表情豊かではしゃぎ回るような言動もなくなり、貫禄も出てきたのではないでしょうか。50代後半にしてで.. Weblog: あしたまにあーな racked: 2011-07-25 01:22