スペンサー=ウェルズ著、上原直子訳『旅する遺伝子』
英治出版より2008年10月に刊行されました。原書の刊行は2007年です。著者は、ナショナルジオグラフィック協会主導の、人類がアフリカからどのように地球上へ移動したのか、遺伝学的な側面から研究するジェノグラフィック・プロジェクトのリーダーです。本書では、その研究成果が一般向けに紹介されています。一般向けということで、まず遺伝の仕組みやこれまでの研究の流れについて平易に述べられており、巻末には簡略なまとめと用語解説があるなど、優れた啓蒙書としての条件を備えている、と言ってよいでしょう。
原書の刊行は2007年で、この分野では3年前の刊行でも情報がやや古くなっている、というところがあるのですが、それでも、本書が一般向けのホモ=サピエンス(とはいっても、基本的には、現代人との直接の遺伝的つながりのある現生人類に限定されるのですが)の移住史として優れている、とは言えると思います。サフルランドをスンダランドと間違えるなど(P134)、残念な間違いもありますし、行動の「現代化」について、「創造の爆発論」的な見解が提示されるなど、同意できない見解もあったのですが、人類進化と現生人類の拡散について興味のある人には、お勧めの一冊です。
原書の刊行は2007年で、この分野では3年前の刊行でも情報がやや古くなっている、というところがあるのですが、それでも、本書が一般向けのホモ=サピエンス(とはいっても、基本的には、現代人との直接の遺伝的つながりのある現生人類に限定されるのですが)の移住史として優れている、とは言えると思います。サフルランドをスンダランドと間違えるなど(P134)、残念な間違いもありますし、行動の「現代化」について、「創造の爆発論」的な見解が提示されるなど、同意できない見解もあったのですが、人類進化と現生人類の拡散について興味のある人には、お勧めの一冊です。
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