『太陽にほえろ!』163話「逆転」10

 これまでにも何度か述べてきましたが、基本的には一話完結の『太陽にほえろ!』は、一話ごとに質に差があり、脚本・演出だけではなく、ゲストの演技も質に大きな影響を与えます。この「逆転」は、ゲストの西村晃氏の演技が作品の質を劇的に高めた好例であり、全718話(PART2まで含めると730話)の中でも屈指の出来となっています。ただ、268話「偶然」や263話「罠」とも共通するのですが、最後に山さんの引っかけにあっさり犯人が自白するあたりは、推理ものとしては物足りないところがあります。しかし、西村氏と露口氏という二人の名優の演技は、それを補って余りあるものがあります。

 話は、かつて山さんが目標とした西村氏演じる権藤警視の犯罪を山さんが立証しようとするものの、権藤警視の幾重にもわたる用意周到なアリバイ工作に苦しめられ、ボスをはじめ一係の面々がほぼ諦めかけた土壇場で、山さんが権藤警視を引っかけて自白させるという内容なのですが、山さんと権藤警視との取調室での対決がメインとなっていて、見応え充分です。露口氏と西村氏の演技は、台詞・表情の作り方・間合いの取り方が秀逸で、一瞬たりとも見逃せず、名優の演技とはこういうものなのだとつくづく感心しました。青春ドラマの性格の強い『太陽にほえろ!』ですが、こうした大人向けの回もあるところが、長期にわたって高い人気を維持できた理由なのだと思います。

この記事へのコメント

みら
2011年07月15日 23:28
こんばんわ

先ほどあった地震で地下鉄東西線が急停車して一瞬とじこめられていました・・しかも乗る前に同僚と「そろそろ来る」と話していたのとトイレに行きたかったので恐怖とスリルでヘトヘトになりました。

ところで・・西村・露口両名の対決はなんとなく記憶にあります、たしか数回あったような気がするのです、この二人といえば『風と雲と虹と』が思い浮かぶようになってしまいました。

『太陽にほえろ』って700回あったことに驚きます、計算するのが面倒ですが、何年間やっていたんでしょうね。

ブルージンの子守歌、youtubeで聞いて、「あったなー」と(笑)加藤和彦作ったのね。
作詞は阿久さんらしいかな。これ、不評だったんですよね(笑)
2011年07月15日 23:42
今晩の地震は、東京でも久々に大きい地震だったように思います。

西村氏と露口氏は『風と雲と虹と』に出演していましたが、作中では接触がなかったのが残念でした。

「ブルージンの子守唄」は、原曲を聴いた時は正直なところぱっとしませんでしたが、アレンジされたBGMはよいと思います。

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