渡邊大門『戦国誕生 中世日本が終焉するとき』
講談社現代新書の一冊として、講談社より2011年5月に刊行されました。本書の主張は、戦国時代の始まりの指標を形式から実体(実力)への変化とし、その画期は、天皇・将軍・守護の権力が著しい低下を見せるようになった、15世紀半ばだった、というものです。形式から実体への変化については、戦国大名の代表例の一つにして守護大名の代表例の一つでもあった今川家の、「今川仮名目録追加二十一条」から、同時代の人々(の一部)にも自覚されていたと考えられますし、現代の視点からも、戦国時代の開始の妥当な指標の一つと言ってよいだろう、と思います。
ただ、こうした変化は連続的なものであり、本書で指摘されているように、15世紀半ばを画期と認めてよいのかというと、今後も検証が必要だろう、とは思います。もっとも、本書でも指摘されているように、戦国時代になって官位や幕府の役職に代表される形式が無意味になったのかというとそうではなく、その意味でも、形式から実体への変化をどの時点と認めるのか、そもそも形式から実体への変化の指標は何かという点で、検証・議論が必要なのではないか、と思います。なかなか読み応えがありましたし、日本史上でとくに不人気な時代である15世紀の政治史を扱った新書という意味でも、高く評価してよいのではないか、と思います。
ただ、こうした変化は連続的なものであり、本書で指摘されているように、15世紀半ばを画期と認めてよいのかというと、今後も検証が必要だろう、とは思います。もっとも、本書でも指摘されているように、戦国時代になって官位や幕府の役職に代表される形式が無意味になったのかというとそうではなく、その意味でも、形式から実体への変化をどの時点と認めるのか、そもそも形式から実体への変化の指標は何かという点で、検証・議論が必要なのではないか、と思います。なかなか読み応えがありましたし、日本史上でとくに不人気な時代である15世紀の政治史を扱った新書という意味でも、高く評価してよいのではないか、と思います。
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