ボイセイの形態と食性との関係
パラントロプス=ボイセイの食性についての研究(Cerlinga et al., 2011)が公表されました。ボイセイは鮮新世~更新世にかけてアフリカ東部に存在し、パラントロプス属ではなくアウストラロピテクス属に分類する見解もあります。ボイセイは、頑丈型猿人と呼ばれることがあるように、咀嚼器官をはじめとしてたいへん頑丈な形態が特徴とされています。この頑丈な形態は、固いものを食べるための適応であり、平地での生存を容易にしたのではないか、というのがじゅうらいの通説でしたが、この研究ではその見直しが主張されています。
この研究では、ボイセイの安定同位体が分析され、ボイセイが他のどの人類よりも多くのC4バイオマスを有していた、と判明しました。C4タイプのバイオマスは草で構成されており、咀嚼器官をはじめとしてパラントロプスの頑丈な形態は、固いものを食べることよりもむしろ、大量の低栄養の植物を食べることへの適応だったかもしれない、と指摘されています。以前にも、歯の微視的使用痕の分析から、ボイセイが果物も食べていた可能性が指摘されており(関連記事)、形態からの食性の推定には難しいところもあるのでしょう。この分析がボイセイ全体に当てはまるのか否か、そもそも発見された化石が少ないこともあり、断定はできません。ボイセイは固いものも食べたのかもしれませんが、おそらく、環境に応じて食べるものを変えていたのでしょう。
参考文献:
Cerlinga TE. et al.(2011): Diet of Paranthropus boisei in the early Pleistocene of East Africa. PNAS, 108, 23, 9337-9341.
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1104627108
この研究では、ボイセイの安定同位体が分析され、ボイセイが他のどの人類よりも多くのC4バイオマスを有していた、と判明しました。C4タイプのバイオマスは草で構成されており、咀嚼器官をはじめとしてパラントロプスの頑丈な形態は、固いものを食べることよりもむしろ、大量の低栄養の植物を食べることへの適応だったかもしれない、と指摘されています。以前にも、歯の微視的使用痕の分析から、ボイセイが果物も食べていた可能性が指摘されており(関連記事)、形態からの食性の推定には難しいところもあるのでしょう。この分析がボイセイ全体に当てはまるのか否か、そもそも発見された化石が少ないこともあり、断定はできません。ボイセイは固いものも食べたのかもしれませんが、おそらく、環境に応じて食べるものを変えていたのでしょう。
参考文献:
Cerlinga TE. et al.(2011): Diet of Paranthropus boisei in the early Pleistocene of East Africa. PNAS, 108, 23, 9337-9341.
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1104627108
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