田渕久美子氏についての醜聞(追記有)

追記(2011年5月19日)
 『FLASH』の記事をじっさいに読んで、補足・訂正するとともに、改めて雑感を述べました。

https://sicambre.seesaa.net/article/201105article_19.html

 今週号の『FLASH』に、大河ドラマ『篤姫』と『江~姫たちの戦国~』の脚本担当である田渕久美子氏についての醜聞が掲載されているそうです。直接確認したわけではないのですが、ネットで概略を知ることができました。したがって、あるいは記事とは異なる捏造話を述べてしまうことになるかもしれませんが、複数の人から同趣旨の内容が投稿されているようですので、ネット上で得た情報はおおむね間違いないものとして、雑感を述べていくことにします。もし、この記事で取り上げた情報が元々の記事とは大きく異なるものだったとしたら、謝罪して訂正します。

 今週号の『FLASH』によると、『篤姫』と『江~姫たちの戦国~』のオープニングで脚本協力としてクレジットされている田渕高志氏(『篤姫』の場合、録画を少し調べてみたところ、序盤はクレジットされていないので、途中からということになりますが)は田渕久美子氏の兄なのですが、じっさいの脚本はかなりのところが田渕高志氏の手になっている、とのことです。一応、田渕久美子氏が最終的には手を加えているようですが、自他ともに歴史が苦手と認める田渕久美子氏だけに、史実(にかなり忠実な)場面は、ほぼ全面的に田渕高志氏に依拠しているようです。報道によるかぎりでは、どうも兄がゴーストライターだと言えそうです。この報道の情報源は田渕久美子氏の元秘書とのことで、『篤姫』の時は脚本の執筆が遅いといった理由で、兄が妹に虐げられていた、との証言もなされているそうです。また、現在兄は失踪中とのことです。

 もちろん、この報道がおおむね正しいと証明されたわけではなく、現時点では、怪しげな情報・誹謗中傷にすぎない、と言われても仕方のないところはありますが、この報道が妥当だとすると、上手く説明できる疑問があることは否定できないだろう、とも思います。田渕高志氏の失踪がいつからか、ネットの情報だけでは分かりませんでしたが、現在、田渕久美子氏が『江~姫たちの戦国~』の脚本の執筆に追われて焦っていることは、本人もネット上のコラム(第14回)で認めており、
http://webmagazine.gentosha.co.jp/taiga/index.html
ゴーストライターたる兄が失踪中だとすると、この焦りも了解されます。

 次に、視聴率では21世紀以降の大河ドラマで最も成功した『篤姫』が、多くの人から脚本面でもそれなりに評価されていて、少なくとも大きく破綻したわけではなかったのにたいして、『江~姫たちの戦国~』の脚本が、あまりにも幼稚な恋愛至上主義で貫かれていて、秀吉のような悪役を描くにしても、『篤姫』の時の井伊直弼のようなあるていど深みを感じられる人物造形ではなく、単純で不快な人物像でしかなく、恋愛至上主義とも関連するのですが、過去の歴史を描くという緊張感がほとんどまったく見られないなど、あまりにも出来が悪い、と考えている人が多いらしいことです(表だって言われているのは、ネットと一部週刊誌くらいですが)。

 私も、割り切って再放送を見た『篤姫』はなかなか面白いと思ったのですが、『江~姫たちの戦国~』は、本当に『篤姫』と同じ脚本家なのだろうか、と不可解に思うくらい、面白くなくて不快な脚本になっています。これまで私は、『篤姫』の成功でさらに高慢になった田渕久美子氏が、原作がないことで大暴走しており、『篤姫』の時の功績があるので、NHK側が批判できず、脚本に大幅な手直しをできない状況に陥っているのではないか、と推測していました。また、田渕久美子氏自身が認めているように、『篤姫』のさいに、歴史に疎い田渕久美子氏に助言していた田渕久美子氏の夫が、『篤姫』の脚本執筆後に亡くなったことも、少なからず影響していたのかな、とも考えていました。

 そうした推測にも妥当なところがあったのかもしれませんが、どの時点からかは分からないものの、ゴーストライターたる兄が失踪したので、田渕久美子氏自身がほぼ一人で脚本を執筆しなければいけなくなったことが要因となって、脚本が破綻してしまった、という推測の方に説得力があるように思います。以前、田渕久美子氏について調べたところ、
https://sicambre.seesaa.net/article/201104article_18.html
田渕久美子氏には『篤姫』以外に大ヒットと言えるような作品はなく、脚本家としてさほど高い才能があるわけではないのだろう、と思いました。じっさい、田渕久美子氏の脚本である『殴る女』は、主題歌がミスチルの「終わりなき旅」ということで、何回か視聴したのですが、面白くなかったので、途中で視聴を止めたことを記憶しています。『殴る女』の脚本に田渕高志氏の協力があったのか分かりませんが、『殴る女』の脚本の水準が、田渕久美子氏の脚本家としての本来の実力なのかもしれません。

 もし、今週号の『FLASH』の報道がおおむね妥当だとすると、今後、NHK側が大幅に脚本を手直ししないかぎり、『江~姫たちの戦国~』は、最終回まで面白くなく、不快な話が続くことになりそうです。それにしても、この報道がおおむね妥当だとすると、サスペンスドラマなどでよく描かれる、脚本家とゴーストライターとの対立・葛藤というような話が現実に起きていたことになるわけで、驚くとともに、笑えます。もっとも、大河ドラマは私も払っているNHKの受信料で制作されているわけで、とても笑っているだけですませられる問題ではありませんが。

この記事へのコメント

龍女
2011年05月19日 07:50
はじめまして。
私は現在脚本の勉強をしています。
このスキャンダルに関しては私の知っている大河ドラマの脚本の制作過程を考えるに、事実無根に近いと思います。
ある事実が歪められて伝えられています。
そもそも他の大河ドラマも純粋に一人の脚本家が書いた訳ではありません。
おそらく、久美子さんの方はメインライターで、高志さんはプロットライターという関係性ではないでしょうか?
通常はメインライターさんよりもキャリアの浅いライターさんが企画書やプロットと呼ばれる脚本の骨組みとなる物を書いており、資料を揃えるのもメインライターさんの仕事ではありません。
つまり今回の大河ドラマが例外ではないのです。
メインライターの仕事は脚本を最終的に仕上げるのが役割です。

また、あなたは田渕久美子さんの作品で朝ドラの『さくら』はご覧になったでしょうか?
 大河ドラマの脚本家選びは朝ドラの脚本を試金石として採用されるかどうかで決まります。
 是非とも朝ドラの脚本家と大河の連動性をちゃんと調べてから記事を書いて下さい。
2011年05月19日 19:58
龍女さん、はじめまして。今後ともよろしくお願い申し仕上げます。

私は大河ドラマの制作事情や映像作品・脚本業界の慣行に詳しいわけではないので、ご教示ありがとうございます。私も含めて多くの一般人の通念とは異なると思うのですが、それが業界の慣行だと指摘されれば、私にはその真偽を判断できるだけの見識はありません。

ただ、「替え玉」や「ゴーストライター」といった表現が、私のように業界の慣行・常識への無知・誤解に起因するものだとしても、『篤姫』の脚本では田渕高志氏の功績が大きく、いつからかは分からないにしても、田渕高志氏が病気療養中?で、『篤姫』の時と比較して田渕久美子氏の加筆・訂正の割合がずっと多くなったと考えると、『篤姫』と『江~姫たちの戦国~』の違いが上手く説明できるなあ、との考えに変わりはありません。その意味で、きょう公開した記事で述べたように、この報道が事実無根とは考えにくいように思います。

「朝ドラの脚本家と大河の連動性」は有名ですし、近年でも『風林火山』や『天地人』や『平清盛』などの例があるので、私も知っていますが、『さくら』は視聴したことがありません。『さくら』が評価されての『篤姫』での起用なのでしょうが、正直なところ、『殴る女』の途中までと『江~姫たちの戦国~』を見ると、『さくら』の脚本の出来があるていど以上の水準だったとしても、兄の田渕高志氏など他の人の功績が大きいのではないか、と疑いたくなります。業界の慣行では、その場合でも田渕久美子氏が脚本担当としてクレジットされるのが「常識」なのかもしれませんが。
im
2011年05月19日 22:18
私も脚本について専門知識を持っているものです。
 その上で、龍女さんのおっしゃっていることに反論したいと思います。

 まず、大河ドラマのメインライターとして名前を看板に出していると言うことは、かなりの実力がそなわっていると自他共に認めているということに他なりません。
 いくら「篤姫」のときと状況が変わろうが、プロットライターがお兄さんから他の人に変わろうが、メインライターである田淵久美子氏は、責任を果たさなければならないのです。
 そして、優秀な脚本家は、いかなる状況であろうと、平均点以上の脚本を上げてきます。
 
 さらに言わせて貰うと、大河の場合、1話につき100万円支払われると聞いたことがあります。さらに再放送されれば、その都度印税が支払われているのです。
 DVDボックスの発行分、NHKオンデマンドの分も、もちろん支払われます。
 これだけの収入が得られるのですから、きちんと仕事をするのは当たり前です。
 「江」の1話(40分)に、それほどの深みを感じたことがあるでしょうか?

 田淵高志氏がゴーストライターだったのか否か、それだけが問題なのではありません。
 今の事態は、田淵久美子氏が引き起こしていることは、疑いようもない事実なのです。
 NHKのスタッフや視聴者の中に、憤りを感じる人がいても仕方がありません。
2011年05月19日 23:15
imさん、コメントありがとうございます。

脚本について専門知識をお持ちとのことで、色々とご教示いただければ幸いです。
ぺんぺん
2011年05月22日 23:09
いつもブログにTrackBackさせて頂いている一般視聴者の者です。

週刊誌等で書かれている内容の真偽については、残念ながら無知な自分には分かりかねるのですが、これまで大河ドラマを楽しみに毎年見続けている者としては、恋愛ドラマ化してしまっている今の江に対しては、残念な気持ちと共に憤りすら覚えます。

それでも、毎回見てしまうのはいつか史実に基づいた人間味あふれる描写があるのではないかと期待してしまうからに他なりません。それはこれまでの大河ドラマで引き継がれてきた、いわば「大河の心」です。

それが19話を終わったタイミングで未だ感じることができないのは、残念以外の何者でもありません。

裏の世界でどうなっているのかはわかりませんが、感動する大河ドラマを見たい、その一心でこれからも見続けていきたいと思います。

これからも、記事内容を楽しみにしています。
2011年05月22日 23:58
私も、いつか見応えのある場面があるのではないか、と僅かながら期待して視聴を続けていたのですが、もうほとんど諦めています。やはり、今回もさっぱりでした。

それでも、関ケ原~大坂の陣をどのように描くのか気になるので、最終回まで視聴を続けるつもりです。
えびすこ
2011年11月15日 11:28
騒動から約半年が経過しました。いくつか質問があります。
篤姫を巡る週刊誌での疑惑について、宮尾登美子さんが何かコメントをしましたか?
もし、失踪中の田淵高志氏が既に亡くなられたとすると今後どうなるのでしょうか?また失踪した原因はなんでしょうか?
ところでキーマンの田淵高志氏はシナリオライターですか?
田淵氏が今後、この件で警視庁か検察庁に立件される事がありますか?
「総理大臣への記者質問風」になりました。
えびすこ
2011年11月15日 11:41
追伸
場合によっては来年以降はこの番組に触れる事が、「NHKのタブー」になるかもしれないですね。過去の作品を見ると制作面で裁判沙汰のあった「春の波涛」や「武蔵」についてNHKが触れる事がないので。裁判にはなりませんでしたが、「勝海舟」も主役とスタッフが途中で交代しています。
可能性が低い「仮に」の話ですが、上野樹里さんがこの一連の騒動に巻き込まれて?引退に追い込まれたらNHKが責任を取るのでしょうか?余談ですが、彼女の眉間にしわが出る場面が気になると言う意見があります。
本質的な原因は「番組の制作」自体がミスなんでしょうか?
来年以降大河ドラマが振るわない状況になると、「時代にそぐわないからもうやめようか?」と言う声が出る事もあり得ます。どうも平成時代の「節目の作品」は視聴率が振るわない・評価が低い傾向にあります。このジンクスがあったのではないかと思います。
追伸が長くなりました。
2011年11月15日 22:50
ここに書いている以上のことはよく分かりません。

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