言語の連続的創始者効果が支持する現生人類アフリカ起源説
言語の連続的創始者効果についての研究(Atkinson., 2011)の要約を読みました。現生人類(ホモ=サピエンス)の起源がアフリカにあることは、現在ではほぼ通説になったと言ってよいでしょうが、その根拠には、有名な「ミトコンドリアイヴ」に象徴される遺伝学からのものだけではなく、形質人類学からのものもあります。と言いますか、現生人類のアフリカ起源説はもともと形質人類学で主張され、遺伝学の研究成果がそれを補強した、という流れになっています。形質人類学・遺伝学における現生人類アフリカ起源説の根拠としては、現代人の遺伝的・表現型的多様性が、アフリカからの距離に反比例して減少する、という研究成果があります。
これは連続的創始者効果によるものと考えられていますが、最近の研究によると、同様の創始者効果が文化と言語にも見られるのではないか、と示唆されています。この研究では、世界の504の言語で使用されている音素の数が調査され、遺伝子・表現型と同じような、アフリカからの連続的創始者効果が認められました。この結果は、現生人類のアフリカ起源説を支持するものだ、と指摘されています。現生人類のアフリカ起源説はさまざまな分野で支持されるようになりましたが、今後の課題は、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)やデニソワ人(種区分は未定)などの現生人類以外のホモ属と、現生人類との交雑がどの程度あり、それらの絶滅ホモ属由来の遺伝子が、現代人の遺伝子プールにどれだけ継承されているのか、明らかにすることでしょう。
参考文献:
Atkinson QD.(2011): Phonemic Diversity Supports a Serial Founder Effect Model of Language Expansion from Africa. Science, 332, 6027, 346-349.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1199295
これは連続的創始者効果によるものと考えられていますが、最近の研究によると、同様の創始者効果が文化と言語にも見られるのではないか、と示唆されています。この研究では、世界の504の言語で使用されている音素の数が調査され、遺伝子・表現型と同じような、アフリカからの連続的創始者効果が認められました。この結果は、現生人類のアフリカ起源説を支持するものだ、と指摘されています。現生人類のアフリカ起源説はさまざまな分野で支持されるようになりましたが、今後の課題は、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)やデニソワ人(種区分は未定)などの現生人類以外のホモ属と、現生人類との交雑がどの程度あり、それらの絶滅ホモ属由来の遺伝子が、現代人の遺伝子プールにどれだけ継承されているのか、明らかにすることでしょう。
参考文献:
Atkinson QD.(2011): Phonemic Diversity Supports a Serial Founder Effect Model of Language Expansion from Africa. Science, 332, 6027, 346-349.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1199295
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