ネアンデルタール人による鳥の利用と現代的行動

 ネアンデルタール人による鳥の利用と現代的行動についての研究(Peresani et al., 2011)の要約を読みました。この研究では、イタリア北部のフマーン洞窟の、44000年前頃の最末期ムステリアン層で発見された、人間により解体された鳥の骨が分析されています。要約を読んだかぎりでは、人骨の共伴はないようですが、イタリア北部の洞窟のムステリアン層における発見ということで、ネアンデルタール人によるものだと推定されているようです。

 フマーン洞窟で発見された鳥は、鷲や隼や鳩や烏など多様でした。これらの鳥の骨には、切断し剥ぎ取った痕跡が確認されましたが、それは翼に集中していました。こうした骨に残った痕跡や、発見された鳥が通常は食用とならない種であることなどから、これはネアンデルタール人による象徴的・現代的行動を示唆しているのではないか、とこの研究では指摘されています。現代的行動の起源をめぐる議論にも関わってくる、興味深い研究ですが、この研究で提示された見解の証明には、さらなる類例の発見・分析が必要となるでしょう。


参考文献:
Peresani M. et al.(2011): Late Neandertals and the intentional removal of feathers as evidenced from bird bone taphonomy at Fumane Cave 44 ky B.P., Italy. PNAS, 108, 10, 3888-3893.
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1016212108

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