有馬記念結果

 昨日、中山では有馬記念が行なわれました。繰り上がりとはいえ3歳でジャパンカップ1着となったローズキングダムの出走回避は残念でしたが、近年の有馬記念は低落傾向にあっただけに、ブエナビスタ・ドリームジャーニーという古馬最強クラスとともに、古馬牡馬の弱さもあるとはいえ、秋になって混合重賞で大活躍している3歳馬から、ヴィクトワールピサ・エイシンフラッシュ・ペルーサという最強クラスの馬が出走してきて、なかなかの出走馬構成になったのではないか、と思います。

 レースは遅い流れで進み、前につけたヴィクトワールピサが早めに先頭に立ち、後方から猛追してきたブエナビスタをわずかに鼻差抑えて勝ちました。ヴィクトワールピサの鞍上のデムーロ騎手の好判断だったと言えますし、逆にブエナビスタの鞍上のスミヨン騎手には、もっと前に位置していれば、と悔いの残る騎乗だったでしょう。遅い流れには不満が残りますが、ブエナビスタの追い込みは見事で、見応えのあるレースでした。ブエナビスタにとっては、昨年に続いて展開の向かない有馬記念となりましたが、現役最強馬であることを改めて示したとも言えるでしょう。

 今年の有馬記念は二つの意味で日本の中央競馬の現状を象徴しています。一つは、外国人騎手の日本人騎手にたいする圧倒的優位で、1~3着の鞍上は全員外国人騎手です。もちろん、競馬の結果は馬の能力があってのことですが、1着のヴィクトワールピサと3着のトゥザグローリーの鞍上が日本人騎手で、デムーロ騎手とウィリアムズ騎手が他の有力馬に騎乗していたら、両馬の1・3着があったか、疑問です。日本競馬においてもっとも競馬先進国に劣っているのは、生産・育成・調教の関係者ではなく、騎手ではないだろうか、と思います。

 もう一つは、近年の日本競馬の芝路線における牡馬陣の低迷で、古馬牡馬の最先着は展開に恵まれた5着のトーセンジョーダンでした。対照的に、3歳牡馬は1・3・4・6・7・9着と健闘し、7着は今年後半に順調さを欠いたエイシンフラッシュ、9着は久々で距離も不安視されていたダノンシャンティで、10~15着は古馬牡馬4頭と古馬牝馬2頭ですから、古馬牡馬勢は完敗したと言ってよいでしょう。古馬牡馬勢で芝選手権距離路線において現役最強馬の座を争えるのはナカヤマフェスタとドリームジャーニーくらいで、今回は前者が休養中、後者が順調さを欠いていましたから、この結果も仕方のないところでしょう。

 今年の3歳牡馬勢は強いと言われてきて、この有馬記念もそうした評価通りの結果となったわけですが、これは、古馬牡馬勢があまりにも弱いためでもあるのでしょう。同様に、近年の芝中距離・選手権距離路線におけるダイワスカーレット・ウオッカ・ブエナビスタといった牝馬の大活躍も、2007年~2009年クラシック組の牡馬勢の弱さに助けられたところがあるのだと思います。もちろんこの間も、ドリームジャーニーやディープスカイやナカヤマフェスタのように、現役最強馬の座を争える牡馬はいましたが、全体的にそれ以前の牡馬と比較して低水準だったことは否めないでしょう。

 今年の3歳牡馬の上位勢が、たとえばメイショウサムソン・アドマイヤムーン・ドリームパスポート・マツリダゴッホといった2006年クラシック組の牡馬勢と比較してより強いとは思いませんが、総合的にみて2007年~2009年クラシック組の牡馬上位勢よりはずっと強そうで、日本競馬の芝路線もやっと低迷から脱するのではないか、と期待しています。最優秀3歳牡馬はヴィクトワールピサ、最優秀古馬牡馬はナカヤマフェスタ、最優秀古馬牝馬はブエナビスタで決まりでしょうが、年度代表馬となると、票が割れそうです。私は、降着になったとはいえ、ジャパンカップでも1位で入線し、1年間安定して活躍したブエナビスタが有利なのではないか、と思います。

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