2010年の古人類学界
あくまでも私の関心に基づいたものですが、今年の古人類学もっとも注目されたのは、なんといってもホモ=ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)とホモ=サピエンス(現生人類)との交雑の可能性を示した研究が公表されたことでしょう。
https://sicambre.seesaa.net/article/201005article_8.html
これまでも、ネアンデルタール人と現生人類との交雑の可能性を示した遺伝学的研究はありましたが、いずれも現代人の核DNAの分析・比較に基づいたものでした。それにたいして、上記の記事で紹介した研究では、ネアンデルタール人のゲノムのドラフト配列が提示され、ネアンデルタール人と現代人との核DNAが直接比較されていますから、じゅうらいの研究よりも大々的に報道されたのは当然だろう、とも思います。まだ、ネアンデルタール人と現生人類との交雑が確定したとまでは言えませんが、その可能性はかなり高いと言えるようになったのではないか、と思います。
ホモ=フロレシエンシスについては、フローレス島の石器が100万年以上前までさかのぼることが示されたのが、大きな成果と言えるでしょう。
https://sicambre.seesaa.net/article/201003article_19.html
もちろん、フローレス島の更新世の人骨は、今のところ10万年前をさかのぼるものが発見されておらず、かりにフローレス島に100万年以上前から人類の痕跡が存在していたとしても、その人類とフロレシエンシスとの関係はまだ断定できないのですが、更新世のフローレス島には100万年以上にわたって人類が生存し続け、フロレシエンシスの祖先が100万年以上前にフローレス島に渡ってきた可能性が高くなったのではないか、と思います。フロレシエンシスと直接の関係はないでしょうが、人類の航海能力について考えるうえで、クレタ島で発見された10万年以上前とされる石器には大いに注目しています。
https://sicambre.seesaa.net/article/201002article_23.html
ネアンデルタール人と現生人類の交雑の可能性を指摘した研究ほど大々的に報道されたわけではありませんが、今年のみならずフロレシエンシスの発表(2004年)以降もっとも衝撃的な研究成果だと私が考えているのが、ネアンデルタール人でも現生人類でもない人類が遺伝学的に特定されたことです。
https://sicambre.seesaa.net/article/201003article_26.html
これは、南シベリアのデニソワ洞窟で発見された48000~30000年前頃の人骨から得られたミトコンドリアDNAの分析の結果判明したことなのですが、人類史のうえではかなり新しい年代に、南シベリアにネアンデルタール人でも現生人類でもないであろう人類がいたことは、たいへん衝撃的でした。しかも、この人骨との関係は不明なのですが、この人骨と同じ層からブレスレットのような装飾品が発見されていることもたいへん興味深く、今後の研究の進展が大いに期待されます。年末には、このデニソワ人の核DNAの分析・比較結果も公表され、デニソワ人がネアンデルタール人とも現生人類とも異なる系統の人類であることが改めて確認されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/201012article_24.html
ただ、この人類が新種かというと断定はできず、これまでの人類種区分のどれかに当てはまるかもしれません。
この他にも、取り上げるべき研究は多いのですが、今年になって古人類学の最新の動向を追うのが昨年までよりも疎かになったことは否定できず、未読の論文がかなり多くなってしまいました。重要な研究でありながら把握しきれていないものも多いのではないか、と思います。これは、大河ドラマをはじめとして、昨年までよりも大河ドラマ・映画の視聴に時間を割いているためで、来年は、映像作品の視聴時間を減らして、古人類学関係の論文・本を読む時間を増やそう、と考えています。
https://sicambre.seesaa.net/article/201005article_8.html
これまでも、ネアンデルタール人と現生人類との交雑の可能性を示した遺伝学的研究はありましたが、いずれも現代人の核DNAの分析・比較に基づいたものでした。それにたいして、上記の記事で紹介した研究では、ネアンデルタール人のゲノムのドラフト配列が提示され、ネアンデルタール人と現代人との核DNAが直接比較されていますから、じゅうらいの研究よりも大々的に報道されたのは当然だろう、とも思います。まだ、ネアンデルタール人と現生人類との交雑が確定したとまでは言えませんが、その可能性はかなり高いと言えるようになったのではないか、と思います。
ホモ=フロレシエンシスについては、フローレス島の石器が100万年以上前までさかのぼることが示されたのが、大きな成果と言えるでしょう。
https://sicambre.seesaa.net/article/201003article_19.html
もちろん、フローレス島の更新世の人骨は、今のところ10万年前をさかのぼるものが発見されておらず、かりにフローレス島に100万年以上前から人類の痕跡が存在していたとしても、その人類とフロレシエンシスとの関係はまだ断定できないのですが、更新世のフローレス島には100万年以上にわたって人類が生存し続け、フロレシエンシスの祖先が100万年以上前にフローレス島に渡ってきた可能性が高くなったのではないか、と思います。フロレシエンシスと直接の関係はないでしょうが、人類の航海能力について考えるうえで、クレタ島で発見された10万年以上前とされる石器には大いに注目しています。
https://sicambre.seesaa.net/article/201002article_23.html
ネアンデルタール人と現生人類の交雑の可能性を指摘した研究ほど大々的に報道されたわけではありませんが、今年のみならずフロレシエンシスの発表(2004年)以降もっとも衝撃的な研究成果だと私が考えているのが、ネアンデルタール人でも現生人類でもない人類が遺伝学的に特定されたことです。
https://sicambre.seesaa.net/article/201003article_26.html
これは、南シベリアのデニソワ洞窟で発見された48000~30000年前頃の人骨から得られたミトコンドリアDNAの分析の結果判明したことなのですが、人類史のうえではかなり新しい年代に、南シベリアにネアンデルタール人でも現生人類でもないであろう人類がいたことは、たいへん衝撃的でした。しかも、この人骨との関係は不明なのですが、この人骨と同じ層からブレスレットのような装飾品が発見されていることもたいへん興味深く、今後の研究の進展が大いに期待されます。年末には、このデニソワ人の核DNAの分析・比較結果も公表され、デニソワ人がネアンデルタール人とも現生人類とも異なる系統の人類であることが改めて確認されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/201012article_24.html
ただ、この人類が新種かというと断定はできず、これまでの人類種区分のどれかに当てはまるかもしれません。
この他にも、取り上げるべき研究は多いのですが、今年になって古人類学の最新の動向を追うのが昨年までよりも疎かになったことは否定できず、未読の論文がかなり多くなってしまいました。重要な研究でありながら把握しきれていないものも多いのではないか、と思います。これは、大河ドラマをはじめとして、昨年までよりも大河ドラマ・映画の視聴に時間を割いているためで、来年は、映像作品の視聴時間を減らして、古人類学関係の論文・本を読む時間を増やそう、と考えています。
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