藤本正行『本能寺の変 信長の油断・光秀の殺意』

 歴史新書の一冊として、洋泉社から2010年10月に刊行されました。すでに著者には、同じく本能寺の変を取り上げた、鈴木眞哉氏との共著『信長は謀略で殺されたのか』(洋泉社、2006年)があるので、本書の見解はおおむね意外なものではなかったのですが、『信長は謀略で殺されたのか』刊行後の本能寺の変についての二つの見解への反論や、有名な「是非に及ばず」の解釈について、通説とは異なるものが提示されているなど、単なる焼き直しにはなっていないので、読む価値はじゅうぶんにあると思います。

 本書を読んで改めて、本能寺の変に黒幕を想定する見解には無理があるな、と思ったのですが、黒幕を想定する陰謀論的な主張が広く支持されやすいことも確かであり、今後も本能寺の変に黒幕を想定する見解は絶えないのでしょう。こうした陰謀論的主張が支持されやすいのは、おそらく日本に限ったことではなく、多少の程度の差はあっても、世界各地で同様なのではないか、と思います。ただ、本書でもたびたび指摘されているように、本能寺の変についてはまだ不明なところも少なくなく、黒幕探しといったミステリー的な関心ではなく、地道な研究を続けていけば、織田政権の性格・位置づけについても、新たな知見が得られる可能性が高いのではないか、とも思います。その意味でも、今後の本能寺の変についての研究の進展に大いに期待しています。

この記事へのコメント

みら
2010年12月23日 23:37
こんばんわ
昨日,自分で自分へのクリスマスプレゼント[ipod touch]を購入しました。早速駆使して参入いたしております。
信長のミステリアスでカリスマ性は、ある意味人気の原因ですね、来年は大河ドラマブームで、発見と新説、出版物も増大するでしょうね。
「信長プロジェクト」も、何をやらかすのか?(^^)楽しみです。
2010年12月24日 23:55
配役発表の時点で予想がつきましたが、来年の大河ドラマでも、信長は格好よく描かれるようです。

一方秀吉はというと、どうも情けないところが強調されるのではないか、と不安です。近年の秀吉人気の低下傾向を反映しているのかもしれません。

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