サヘラントロプスの生息環境
サヘラントロプスの生息環境についての研究(Blondel et al., 2010)の概要を読みました。この研究では、現在のところ最古の人類とされる、サヘラントロプス=チャデンシスが発見されたことでも知られるチャドにある、トロス=メナラで出土した後期中新世のウシ科動物の歯の分析から、当時のチャドの湖周辺の環境の復元が試みられています。じゅうらいの研究とこの研究の分析結果が示唆しているのは、当時のチャドの湖周辺は草原から森林地帯までさまざまな生息環境を含むモザイク状だった、ということです。
人類がどのような環境で進化してきたのか、という問題の解明にあたって、このような研究の蓄積が重要となってきます。人類は森林環境で進化し、森林で過ごしてきた時間はかなり長く、真のホモ属であるエレクトス(もしくはエルガスター)になってはじめて、森林環境というか樹上生活とは決別した可能性が高そうですが、直立二足歩行の定着・特化は、森林環境でのみ進展したのではなく、草原環境での活動にもかなりの影響を受けたのではないか、と思われます。おそらく初期人類は、草原から森林地帯までさまざまな場所を含むモザイク状の環境で進化してきたのでしょう。
参考文献:
Blondel C. et al.(2010): Dental mesowear analysis of the late Miocene Bovidae from Toros-Menalla (Chad) and early hominid habitats in Central Africa. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology, 292, 1-2, 184-191.
http://dx.doi.org/10.1016/j.palaeo.2010.03.042
人類がどのような環境で進化してきたのか、という問題の解明にあたって、このような研究の蓄積が重要となってきます。人類は森林環境で進化し、森林で過ごしてきた時間はかなり長く、真のホモ属であるエレクトス(もしくはエルガスター)になってはじめて、森林環境というか樹上生活とは決別した可能性が高そうですが、直立二足歩行の定着・特化は、森林環境でのみ進展したのではなく、草原環境での活動にもかなりの影響を受けたのではないか、と思われます。おそらく初期人類は、草原から森林地帯までさまざまな場所を含むモザイク状の環境で進化してきたのでしょう。
参考文献:
Blondel C. et al.(2010): Dental mesowear analysis of the late Miocene Bovidae from Toros-Menalla (Chad) and early hominid habitats in Central Africa. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology, 292, 1-2, 184-191.
http://dx.doi.org/10.1016/j.palaeo.2010.03.042
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