足立倫行『激変!日本古代史』

 朝日新書の一冊として、朝日新聞社より2010年1月に刊行されました。著者はノンフィクション作家で、著者自身の見解を提示するのではなく、専門家の見解を取材しまとめています。邪馬台国論争を中心に、聖徳太子・大化改新・伊勢神宮など、一般にも関心の高い問題が取り上げられています。本書の特徴は、著者が現地に赴いて取材していることで、このような手法は珍しくありませんが、現地で研究者にしっかりと取材しているところは、新書としてはなかなかよいと思います。

 上述したように、本書で提示されている見解は著者独自のものではなく専門家のもので、非専門家による一般向け日本古代史本にありがちなトンデモ色は薄いのですが、聖徳太子について述べられた第7章は、実在しなかったとする大山誠一説に偏っているように思います。大山説への批判については以前にもこのブログで取り上げましたが、
https://sicambre.seesaa.net/article/201011article_2.html
かなりの問題点があることは否定できないでしょう。

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