スペシャルドラマ『坂の上の雲』第6回「日英同盟」

 いよいよ待望の第2部が始まりました。今回は日英同盟というタイトルだったのですが、日英同盟の交渉そのものは描かれず、日英同盟の重要な背景である日本とロシアとの関係が、伊藤博文の行動を中心に描かれ、看板に偽りありといった感は否めません。今回の伊藤は間抜けな存在として描かれていましたが、確か原作でもそのように描かれており、原作にわりと忠実だったように思います。もっとも、こうした伊藤にたいする評価やドラマで描かれたロシア帝国の思惑がどこまで史実に忠実なのかというと、疑問の残るところではありますが。

 今回は広瀬が実質的な主役との感さえあり、第2部では広瀬が主役級として描かれるそうです。そうした意図もあるのでしょうが、広瀬とアリアズナとの関係が丁寧に描かれ、確かにドラマとして面白い題材ですし、じっさいそれなりに楽しめましたが、ここまで広瀬とアリアズナとの関係を丁寧に描くよりも、日英同盟の交渉に時間を割けばよかったのに、とも思います。第1部最終回の第5回に登場したボリスは、あまりにも悲惨な役回りだったため、登場場面がそれほど多くなかったのに強烈な印象を残しましたが、今回も強く印象に残りました。喜劇的な役割を担わせるための人物造形ということでしょうか。

 第1部もそうでしたが、今回も映像の美しさは見事なもので、とくに、ロシア帝国での場面の映像は見応えがあります。こうした美しい映像もこの作品の魅力で、次回以降も映像美を堪能できそうです。ただ、船のCGについては、やや作り物感が強く出てしまっているかな、という気もします。とはいえ、昔の大河ドラマのあまりにも粗末な合成画像と比較すると、あまりにも大きな差があることは確かですが。次回は、ついに子規が亡くなることになり、子規役の香川氏の熱演に期待しています。

この記事へのコメント

みら
2010年11月30日 09:20
おはようございます。
龍馬も終わり、そして年末の看板番組がスタートですね、私はまだ見れない状況なので来週からです。
初回はあの美しいロシア女性と広瀬さんが中心なんですね。
私の中で、明治=民を巻き込む殺戮の時代に突入する・・のようなイメージがあって興味がもてなくて今までスルーしてきました。ほとんど知らないことだらけ。特に軍人はどうも・・(笑)
でも今回は人間模様も描かれているようなので、楽しんで鑑賞したいと思います。

ところでNHKオンデマンドで12月より「特選番組見放題プラン」というのが誕生しました。昔の大河ドラマがかなり見れるんですよ。今はちょっと先送り・・・時間が欲しいです。

劉さんが今年一年間で、一番面白かったNHKの番組ってなんですか?
よかったら教えてください。
それと、図書は?
2010年11月30日 23:46
今年一番面白かったNHKの番組は『10年先も君に恋して』、本は神田千里『宗教で読む戦国時代』です。
みら
2010年12月07日 09:09
おはようございます。
地上波では、初回がスタートしました、急激に近代化した日本が諸外国との交流でどのような波を乗り越え盤石な体制を築いていくのか・・なんだか息苦しいですね。
しかし、ヨーロッパからみた日本って・・・やたら猿呼ばわりが屈辱的で気に入らないですね。

ニコライが、大津事件がきっけけで日本に不信があると、伊藤は思わなかったんでしょうか。個人的に1000円札で馴染み深い伊藤博文は長州人でもあるし好きなんですけど・・・(笑)。

いっそ、アジア一体で、ロシアと戦争すればよかったんですよ。(・・このあたりの歴史あまり詳しくないけど)
アジアで小さく争っている場合じゃない(現在もそうですが)

明治期の歴史ドラマって、宗教は全く描かれなくなってしまいますね、だからあんまり心惹かれないのかも知れません。

神田千里『宗教で読む戦国時代』は、正月によんでみます~。
『10年先も君に恋して』・・・こんな言葉誰かに言われてみたいです(笑)
2010年12月07日 22:00
ニコライ2世の日記からうかがえるニコライ2世像は、『坂の上の雲』で描かれたものとは異なる、と言われており、ニコライ2世の日本にたいする感情は、大津事件後もそれほど悪化したわけではない、とも指摘されています。

原作もそうですが、ドラマのニコライ2世像も実像とはかなりかけ離れている可能性がありそうです。

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