アメリカ大陸最古級の人骨?

 メキシコのユカタン半島にある観光都市カンクンの南方約130kmに位置する海中洞窟で、アメリカ大陸では最古級になると思われる人骨が発見された、と報道されました。篝火をたいた幻想的な儀式の中で、この洞窟に安置された可能性がある、とのことです。この人骨は、2006年にドイツ人のダイバーによって偶然発見され、2010年8月後半になってやっと、研究機関の詳しい調査のために海底から引き上げられた、とのことです。この洞窟は1万年前頃には水没し、その後には最近まで誰も入らなかっただろうから、この人骨は少なくともと1万年以上前のものだろう、と研究チームは考えているそうですが、より正確な年代は、放射性炭素年代測定の結果が出るまで待つ必要があるでしょう。

 この人骨は保存状態がよく、歯の摩耗が少ないことから、若くして死亡したと考えられています。この人骨が発見された海中洞窟の近くでは、この人骨よりもさらに古い12000年前頃と考えられる人骨も発見されているそうです。これらの人骨については、頭骨に南アジアやインドネシアが起源と考えられる解剖学的特徴が見られる、との見解もあるそうで、北アジア起源とされる北アメリカ大陸の初期人類とは異なるところもあります。そうしたことから、複数の人類集団が北アメリカ大陸へと移住してきた可能性も指摘されています。

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  • メソアメリカ最古級の人骨

    Excerpt: これは9月12日分の記事として掲載しておきます。メソアメリカ最古級の人骨に関する研究(Stinnesbeck et al., 2017)が報道されました。この人骨については、7年前にこのブログで取り上.. Weblog: 雑記帳 racked: 2017-09-11 18:49