民主党代表戦結果

 昨日、菅首相と小沢前幹事長が立候補した民主党代表戦の開票が行なわれました。民主党代表戦の仕組みはやや複雑で、国会議員・地方議員・党員およびサポーターごとにポイントが振り分けられており、ポイントの合計により代表が決まります。国会議員は411人で1人2ポイント、地方議員は2382人で合計100ポイント(得票割合に応じて配分)、党員およびサポーターは342493人合計300ポイント(衆議院の小選挙区ごとに集計し、最多得票の候補者に1ポイント)になります。事前の予想では、大手マスコミは菅首相優勢とし、個人のブログなどネットは小沢前幹事長優勢とする傾向が強かったように思われます。

 開票結果は、国会議員票が菅首相206票(412ポイント)にたいして小沢前幹事長200票(400ポイント)、地方議員票が菅首相60ポイントにたいして小沢前幹事長40ポイント、党員およびサポーター票が菅首相249ポイントにたいして小沢前幹事長51ポイントで、合計すると菅首相721ポイントにたいして小沢前幹事長491ポイントになり、菅首相の再選が決定しました。

 このような多難な時期に、前回が臨時の代表選だったとはいえ、わずか三ヶ月で再び民主党代表戦が行なわれ、菅首相は政権運営よりも代表選再選のほうにはるかに力を入れていたような印象も受けました。おそらく、短期的には菅内閣の支持率が上昇するかもしれませんが、長期的には、菅内閣と民主党の支持率は低下していくでしょう。国民の間で民主党への失望がいっそう深まった代表戦騒動になったのではないか、と思います。自公連立から昨年の政権交代まで、消極的に民主党に投票し続けてきましたが、正直なところ、民主党中心の政権がこれほど迷走するとは予想していませんでした。確かに、この困難な状況にある日本では、誰が首相でも政権運営は困難だとは思いますが、やはり自分の見通しが甘かったことは否めず、大いに反省しています。

 小沢前幹事長は、重大な責任をとることになる首相への意欲はあまりなく、負けたとしても、自分の勢力を誇示することができれば、自派の復権が可能になると考えて、この民主党代表選挙に出馬した、と私は邪推していました。この邪推がおおむね妥当だとすると、地方議員票と党員およびサポーター票、とくに後者で大差がついたとはいえ、国会議員票はほぼ互角でしたから、小沢前幹事長の意図はあるていど達成された、と言えそうです。小沢前幹事長を筆頭に小沢派の議員が離党するか否かは、人事次第でしょう。

 今回の民主党代表戦は、おおむね大手マスコミの予想通りとなりましたが、おそらくこの結果にたいして、「マスゴミ」の偏向報道(その背後には官僚、さらにその背後には米国がいる、としばしば小沢信者たちの間では説明されます)により小沢前幹事長は負けたのだ、と少なからぬ小沢信者たちは言い張ることでしょう。大手マスコミの影響力は大きく、偏向報道も確かにありますが、「政治意識に目覚めてネットで真実を知った情報強者」を気取っているサイトやブログやツイッターなどでの言説のほとんどと比較すると、はるかに信用できて参考になることは、言うまでもないでしょう。もちろん、例外もあるとは思いますが。

この記事へのコメント

sunbird
2010年09月15日 06:38
大手マスコミの祖先は、戦前、戦争もっとやれやれと国民を煽って、その通り戦争に突っ込んでいった。やがて、地獄が控えているのもうすうす知りながら。

 確かにその信用する気持ちが増幅していく要素の一つかもしれません。疑う気持ちが消えたらその先は???
2010年09月15日 21:02
念のために申し上げておくと、大手マスコミを疑うなという趣旨の記事ではありません。

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