フロレシエンシスの進化と島嶼化

 ホモ=フロレシエンシスの進化と島嶼化についての研究(Meijer et al., 2010)が報道されました。この研究では、フローレス島の脊椎動物と他の島々の脊椎動物とが比較された結果、系統発生の連続・種の多様性の乏しさ・不調和な動物相といった特徴のあるフローレス島の動物群の進化は、島嶼化によって説明され得るものであり、低身長・小さな脳・比較的長い腕・頑丈な下肢・長い足のようなフロレシエンシスの特徴も、特有だというわけではなく、島嶼化によって説明され得る、とされています。

 最近では、フロレシエンシスはホモ=エレクトスからではなく、もっと原始的特徴を有する人類から進化したのではないか、という見解が強くなりつつあるように思われますが、この研究では、フロレシエンシスの「原始的特徴」が島嶼化によって説明されており、この論文の筆頭著者のメイジャー博士は、フロレシエンシスはフローレス島での長い孤立の結果として、エレクトスとから進化した、と考えています。ただ、フロレシエンシスの人類史上における位置づけについては、これで決着するというわけではなく、今後も論争が続きそうです。


参考文献:
Meijer HJM. et al.(2010): The fellowship of the hobbit: the fauna surrounding Homo floresiensis. Journal of Biogeography, 37, 6, 995-1006.
http://dx.doi.org/10.1111/j.1365-2699.2010.02308.x

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック