大河ドラマ『龍馬伝』第16回「勝麟太郎」

 龍馬を主人公とした作品では、龍馬と勝麟太郎(海舟)との出会いはひじょうに重要な意味をもっていることが多く、第二部の山場とも言うべき回になると思っていたのですが、今回の龍馬と海舟との初対面の場面は、悟りきった感じの最近の龍馬を見慣れていただけに、どうも説得力に欠けていたように思います。むしろ、海舟と半平太との対面の場面のほうが、説得力も緊張感もあってよかったと思います。海舟役の武田鉄也氏は、なかなかよいのですが、どうも金八先生を意識した脚本・演出になっているような気もします。

 今回は久々に佐那も登場しました。佐那は4人のヒロインのうち第2のヒロインなのですが、龍馬への想いは佐那からの一方通行で、第1のヒロインの加尾が、龍馬とは相思相愛だったにも関わらず政治に引き裂かれ、今後登場する第3のヒロインの楢崎龍は龍馬と結婚し、後半に登場するだろう第4のヒロインのお元が龍馬から愛されるだろうことを考えると、龍馬との恋愛関係において、4人のヒロインのうち佐那だけが不遇ということになります。せめて、次回はその不遇さを活かした脚本・演出になるよう期待しています。

 今回は、松平春嶽という重要人物も登場しましたが、春嶽は当時30代半ばにも関わらず、演じるのは夏八木勲氏で、山内容堂や吉田東洋もそうだったように、この作品では、大物感を出さねばならない役柄の人物は、じっさいの年齢よりもずっと上の役者を起用するという基本方針なのでしょう。『風林火山』の上杉憲政もそうでしたが、このような配役も悪くはない、と思います。次回は、その容堂の怪演が見られそうで楽しみです。

この記事へのコメント

みら
2010年04月19日 00:45
こんばんわ
私はやっと福山さんが福山さんでなく龍馬に見えるようになってきました・・・慣れですね。

佐那様の不遇さをいかした脚本・演出って、どんな演出ですか?・・・劉さん、サディスティックですね?笑 

武田鉄也はいいですね、この人は何の役をあてはめても独自の節回しが不変です。

半平太は役者さんのせいで、小物感っぽいのでは?見上げた視線が弱いところにそう感じました。
土佐の泥臭さと血なまぐささがないのです。

・・でも、回を重ねる毎に面白くなってきたと思います。
2010年04月20日 06:33
佐那にかんしては、恋愛関係でとってつけたようなフォローなどせず、凛とした雰囲気を見せつつ龍馬と別れて欲しいな、と思います。

半平太の小物感は、脚本と演出の問題のほうが大きいように思います。

今にして思うと、第1回だか第2回だか忘れましたが、下戸なのに酔っ払ってしまって切腹と騒ぐ姿も、優秀な人物の愛嬌を描こうとしたのではなく、小物感を印象づける意図があったのかな、とも思います。

だんだん面白くなってきたというのは同感です。

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