現生人類以外の人類による航海?
現生人類(ホモ=サピエンス)以外の人類が地中海のクレタ島にたどり着いていた可能性を指摘した研究が報道されました。この研究は、“Hesperia”という雑誌に掲載予定とのことです。この報道と他の報道によると、クレタ島で握斧(Hand axe)によく似た石器が発見されたそうです。握斧は下部旧石器時代(サハラ砂漠以南のアフリカでは前期石器時代)におもに使用されていた石器で、石器技術の分類では段階2に区分されます。これらの石器の埋まっていた堆積層は、もっとも新しいものが45000年以上前、もっとも古いものが130000年以上前とされています。この報道では、握斧は175000年前頃まで使われていた、とされています。クレタ島以外の地域の握斧製作・使用時期の下限は、あるいはもっと下るかもしれませんが、不勉強なもので断言はできません。いずれにしても、クレタ島の握斧は、これまでの見解からすると、握斧としてはひじょうに新しい時代のものと言えそうです。
この研究でもっとも注目されるのは、もちろん、かなり古い時代から人類が航海を行なっていた可能性が高いことが明らかになったことです。この報道によると、更新世のクレタ島の石器の上限年代には曖昧なところがあるので、評価の難しいところですが、ほぼ確実な人類の航海の証拠としては、偶然の漂着である可能性の高いフローレス島の80万年前の事例を除くと、最古の例となる可能性が高そうです。その意味では、ひじょうに重要な発見と言えそうですが、このクレタ島の石器文化の担い手が初期現生人類だとすると、人類史を大幅に書き替えるというところまではいかないでしょう。
一方、このクレタ島の石器文化の担い手が末期ハイデルベルゲンシスや初期ネアンデルタール人(ネアンデルターレンシス)だとすると、ネアンデルタール人と現生人類の共通祖先が航海を可能とする潜在的能力(現代人と同じ水準ではないにしても)を有していた可能性が高くなるわけで、現生人類以外人類の移住経路や進出範囲の見直しなど、人類史を大幅に書き替える可能性もあります。この報道でも指摘されているように、地中海の島々で旧石器時代の遺物の発見を目的として発掘がなされたことはなく、地中海にかぎらず他の島々でも旧石器時代の遺物の発見を目的として調査を進めていけば、下部旧石器文化的な石器がさらに発見される可能性もあるでしょう。
この研究でもっとも注目されるのは、もちろん、かなり古い時代から人類が航海を行なっていた可能性が高いことが明らかになったことです。この報道によると、更新世のクレタ島の石器の上限年代には曖昧なところがあるので、評価の難しいところですが、ほぼ確実な人類の航海の証拠としては、偶然の漂着である可能性の高いフローレス島の80万年前の事例を除くと、最古の例となる可能性が高そうです。その意味では、ひじょうに重要な発見と言えそうですが、このクレタ島の石器文化の担い手が初期現生人類だとすると、人類史を大幅に書き替えるというところまではいかないでしょう。
一方、このクレタ島の石器文化の担い手が末期ハイデルベルゲンシスや初期ネアンデルタール人(ネアンデルターレンシス)だとすると、ネアンデルタール人と現生人類の共通祖先が航海を可能とする潜在的能力(現代人と同じ水準ではないにしても)を有していた可能性が高くなるわけで、現生人類以外人類の移住経路や進出範囲の見直しなど、人類史を大幅に書き替える可能性もあります。この報道でも指摘されているように、地中海の島々で旧石器時代の遺物の発見を目的として発掘がなされたことはなく、地中海にかぎらず他の島々でも旧石器時代の遺物の発見を目的として調査を進めていけば、下部旧石器文化的な石器がさらに発見される可能性もあるでしょう。
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