縄文人の遺伝的分析

 縄文時代早期~続縄文時代の人骨(北海道のものが54体・東北地方のものが20体)から抽出されたミトコンドリアDNAを分析し、関東地方の縄文人のデータと比較した結果、縄文人は北海道・東北集団と関東集団とで大きく異なることが明らかになった、との研究が報道されました。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/environment/215305.html

 この報道によると、関東集団ではほとんど見られないハプログループN9bが、北海道・東北集団では6割を超える高頻度で見つかり、シベリア先住民族に見られるハプログループG1bが北海道集団でのみ確認され、1割になることも明らかになった、とのことです。縄文人が遺伝的に一様ではないだろうということは、予測できていたことなので意外ではありませんが、このように実証されることには大きな意味があるのだと思います。以前、どこかの掲示板で述べたことがあると記憶しているのですが、けっきょくのところ、「典型的な縄文人」はいない、ということなのでしょう。よく、一般向け書籍などで「典型的な縄文人」の復元像が掲載され、「典型的な弥生人」の復元像と比較されていますが、「典型的な弥生人」という想定も含めて、こうした比較にはかなりの問題があるのではないか、と思います。

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