人間とチンパンジーとのY染色体の違い
人間とチンパンジーとのY染色体の違いについての研究(Hughes et al., 2010)が公表されました。人間やチンパンジーなどはXとYという性染色体が性別を決定しており、雄はXYを、雌はXXを持っています。この研究ではチンパンジーのY染色体にある雄特有の領域の塩基配列が解読され、それと人間のY染色体とが比較されました。その結果は意外なものであり、チンパンジーと人間とのY染色体には構造や遺伝子含量に著しい違いがあり、チンパンジーの系統と人間の系統が分岐した後(700~600万年間?)に急激な進化があったことを示している、とされています。
この研究結果は、Y染色体は遺伝子喪失によってきわめてゆっくりと進化するだけで、構造は本質的に変化しない、とするこれまでの一般的な見方とは違っており、チンパンジーと人間とのY染色体の進化では、むしろ改変や再構成が主流だったのではないか、と指摘されています。このような両者のY染色体における大きな違いの説明としては、乱婚社会のチンパンジーの配偶行動と、それとも関連して、精子生産におけるY染色体の役割などが考えられます。人類の進化とも関連する、興味深い研究だと思います。
参考文献:
Hughes JF. et al.(2010): Chimpanzee and human Y chromosomes are remarkably divergent in structure and gene content. Nature, 463, 536-539.
http://dx.doi.org/10.1038/nature08700
この研究結果は、Y染色体は遺伝子喪失によってきわめてゆっくりと進化するだけで、構造は本質的に変化しない、とするこれまでの一般的な見方とは違っており、チンパンジーと人間とのY染色体の進化では、むしろ改変や再構成が主流だったのではないか、と指摘されています。このような両者のY染色体における大きな違いの説明としては、乱婚社会のチンパンジーの配偶行動と、それとも関連して、精子生産におけるY染色体の役割などが考えられます。人類の進化とも関連する、興味深い研究だと思います。
参考文献:
Hughes JF. et al.(2010): Chimpanzee and human Y chromosomes are remarkably divergent in structure and gene content. Nature, 463, 536-539.
http://dx.doi.org/10.1038/nature08700
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