更新世末期の北アメリカ大陸における大型動物絶滅の原因
更新世末期の北アメリカ大陸での大型動物絶滅についての研究(Gill et al., 2009)(Gill et al., 2009)が公表されました。この原因をめぐっては、大まかに二分すると、環境説と人為説とが提示されています。この研究では、アメリカ合衆国インディアナ州のアップルマン湖の古代堆積物から抽出された花粉・木炭・“Sporormiella”という大型草食動物の糞に成育する糞生菌類が分析されました。どのていどの糞生菌類が存在するかが当時の大型草食動物の生物量の指標となることから、この糞生菌類のデータと、花粉および木炭から得られた植生と火災の記録との関連が検証されました。その結果、大型動物群の減少は、クローヴィス人の到来や植物群落の激変・延焼の1000年以上前から始まっていたことが判明しました。こうした結果から、大型動物はクローヴィス人の到来以前の14800~13700年前にかけてじょじょに衰退していったのであり、大型動物の絶滅は植物相の変化や延焼の結果ではなく、原因であった、とされています。
またこの研究では、12900年前の隕石衝突
https://sicambre.seesaa.net/article/200901article_10.html
も大型動物相絶滅の原因ではない、とされています。数年前にも、更新世末期の北アメリカ大陸における大型動物絶滅の原因を人間の行動に求める説に否定的な見解が提示され、
https://sicambre.seesaa.net/article/200802article_9.html
近年では人為説には否定的な傾向が強くなっているようにも思われます。しかしこの問題は、北アメリカ大陸に人類がいつ進出したのか、という古くからの議論とも関連しており、今後も容易には決着しないでしょう。
参考文献:
Gill JL. et al.(2009): Pleistocene Megafaunal Collapse, Novel Plant Communities, and Enhanced Fire Regimes in North America. Science, 326, 5956, 1100-1103.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1179504
またこの研究では、12900年前の隕石衝突
https://sicambre.seesaa.net/article/200901article_10.html
も大型動物相絶滅の原因ではない、とされています。数年前にも、更新世末期の北アメリカ大陸における大型動物絶滅の原因を人間の行動に求める説に否定的な見解が提示され、
https://sicambre.seesaa.net/article/200802article_9.html
近年では人為説には否定的な傾向が強くなっているようにも思われます。しかしこの問題は、北アメリカ大陸に人類がいつ進出したのか、という古くからの議論とも関連しており、今後も容易には決着しないでしょう。
参考文献:
Gill JL. et al.(2009): Pleistocene Megafaunal Collapse, Novel Plant Communities, and Enhanced Fire Regimes in North America. Science, 326, 5956, 1100-1103.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1179504
この記事へのコメント