スペシャルドラマ『坂の上の雲』第4回「日清開戦」

 今回は不覚にもBSハイビジョンでの録画を忘れてしまい、たいへん後悔しています。さて、今回は日清戦争が主題ということで、戦闘場面がどのように描かれるのか、注目していました。さすがにハリウッドの大作映画には及ばないにしても、テレビの連続ドラマとしては、じゅうぶんな迫力だったように思います。海軍の戦闘場面については、 やや不自然だと感じた人が少なからずいたかもしれませんが、映像作品で海戦を再現することの難しさを考えれば、テレビの連続ドラマとしては及第点だったと思います。その海戦では、自分を慕っていた部下が自分の目前で戦死したことに真之が衝撃を受け、自分は軍人に向いていないのではないか、と悩みます。こういう描写があると、反戦を安易に持ち込んでいる、と批判する人もいるでしょうが、無理のない話の流れになっていたと思います。

 今回は、小村寿太郎や森鴎外や山本権兵衛や大山巌や乃木希典といった重要人物も登場し(外国では李鴻章や袁世凱)、とくに大山巌については、米倉斉加年氏が演じるということで注目していました。米倉氏は、器の大きいおおらかな人物という設定になっている大山巌を好演しており、さすがだな、と思います。怪しげな興世王を演じた『風と雲と虹と』、薬物売買に関与し後に脳に障害を追った心の純粋な人物や知的な犯罪者を演じた『太陽にほえろ!』、頑固な職人を演じた『ちりとてちん』など、米倉氏の演技の幅は広く、本当に感心させられます。

この記事へのコメント

2009年12月21日 00:51
私の断片的感想。清国陸軍兵の動きが人民解放軍そのものだった。中国ロケにて、人民解放軍をエキストラに使っているためと思われる。
 色々な面で、かなり原作とは違った独自の「創作」が見られる。例えば、秋山真之が「自分を慕っていた部下が自分の目前で戦死したことに真之が衝撃を受け、自分は軍人に向いていないのではないか、と悩」むシーンなど。
 後、子規とその家族(母と妹)が日清戦争=中国との戦争に対する批判的役割を果たしているが、これも原作にはない「創作」である。もっとも、今のご時世、このような脚色のない『坂の上の雲』をTV放映するわけにはいかないだろうし、私もそのようなものの法会ウニは反対である。
 実際、司馬遼太郎自身は生前、「戦争賛美と誤解される」と本作のドラマ化には反対していたという。確かに、機械的に原作に忠実にドラマ化すれば、「戦争賛美」との批判を免れないだろう。
2009年12月21日 00:58
誤解の無いように言っておくが、私が「動きが中国人民解放軍そのもの」と評したのは、秋山部隊との戦闘シーンでの「清国兵」のもので、冒頭の高陞号上のものではない。
 もし、実際の清国兵がドラマの戦闘シーンほど、きびきびしたものであったならば、日清戦争の帰趨も違ったものになったろう。
 なお余談ながら、中国では、日清戦争のことを「甲午中日戦争」と呼ぶ。
2009年12月21日 01:00
何度もコメント申し訳ありません。一番最初のコメントの「私もそのようなものの法会ウニは反対である。」は、「私もそのようなものの放映には反対である」の間違いです。
2009年12月21日 23:50
最後に原作を読んでから十数年以上経過しているだけに、どこまで原作に沿った内容になっているのか、判断の難しいところなのですが、映像化にあたって、原作にはない描写が創作されるのは、あるていど仕方のないところもあるだろう、とは思います。

この作品は政治的評価と深く関わらざるを得ないので、万人を満足させるような内容は難しく、おそらくは創作場面であろう旅順陥落後の場面にしても、不要だと言う人がいる一方で、旅順陥落後の出来事について示唆ていどにとどまっている、と批判的な人もいるのでしょう。

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