大河ドラマ『風と雲と虹と』第5回「平安の都」
小督を訪ねようとした直前に、小督の父である源護に見つかった将門は、護の問いかけに素直に応じ、自分の名前と目的を明かします。護は、しかるべき人を通じて婚姻を申し込むよう将門に言い渡し、将門は引き下がります。その様子を見ていた貞盛は、今度は自分が密かに小督を訪れ、小督の侍女はすでに貞盛と馴染みだったので、貞盛をあっさりと小督の部屋に案内します。
将門は伯父の国香に仲人を申し込み、この縁談をまとめれば所領争いも解決するのではないか、と考えた国香は、さっそく源護の館を訪れます。ところが、護はすでに小督と貞盛との関係に気づいていたのか、小督と貞盛との婚姻を考えている、国香に返答し、国香は困惑します。館に戻った国香は、娘を連れて館を訪れていた弟の良兼に相談します。ここで将門は、良兼の娘である良子に出会い、その明るさに好感を持ちます。後に二人が夫婦となることの伏線なのでしょう。
国香と良兼は、将門が官位を得れば小督との結婚を考えないでもない、との護の考えを将門に伝え、貞盛とともに数年の間都で過ごすよう将門に勧めます。もちろんこれは、将門がいない間に、良将から将門へと引き継がれるはずの所領の押領を確たるものにしよう、との意図があってのことなのでしょう。帰宅した将門は、母・弟・郎党たちに、上京すべきか否か相談し、弟2人や郎党たちの進言もあり、上京を決意します。一方貞盛は、もともと都での生活に憧れており、進んで上京を決意します。貞盛は、父の国香と叔父の良兼を前に、官位は進物、つまり賄賂で決まる、と堂々と述べ、国香と良兼は呆れるとともに貞盛の器量に感心した様子も見せます。
この貞盛の割り切った性格と要領のよさは将門と対照的で、それは小督との関係にも表れています。一途に小督を想い、目上の人物に素直に従う将門にたいし、貞盛は、将門と小督との関係を知りつつも、小督を強く責めることはなく、関係を続けます。また、貞盛は小督の前で都への憧れを率直に語り、小督に執着していないかのような様子を見せます。貞盛は小督との関係を2年以上続けており、小督への執着は強いのでしょうが、それでも飄々と振舞っているのは、性格だけではなく色男としての自負もあるからなのでしょう。こうした貞盛の心理は、将門にはとうてい理解できるものではなく、後に両者が決別するにいたる要因の一つとして、性格とそれに起因する価値観の違いもあるのだと思います。小督は、父や姉たちに問い質されて、将門も好きと答えて屈託のない様子を見せるなど、小悪魔的なところがあり、多岐川裕美氏の魅力がよく表れています。
上京した将門は、まだ都の様子を詳しく知らないため、都の繁栄に強く心を惹かれてしまいます。都の市では、商売とともに見世物も行なわれており、そうした人々のなかに、螻蛄婆や美濃がいて、螻蛄婆と通じており、人望を集めている人物として、藤原純友がいます。今回は、自分から物を盗ろうとしたスリとその一味を豪快に倒していく将門を、純友と螻蛄婆が興味深く見ているだけで終わり、今回新たに登場した重要人物たちと将門との直接の接触はありません。次回への話の期待の持たせ方という点で、この作品はなかなか優れており、これは脚本・演出面での功績でしょう。
演技面でも、相変わらずおおむね満足いくものとなっており、今回初登場となった純友役の緒形拳氏の演技はやはり期待がもてそうですし、平国香役の佐野浅夫氏・平良兼役の長門勇氏・源護役の西村晃氏の演技は安定しており、安心して見ていられます。飄々とした貞盛を演じている山口崇氏はまさに適役ですし、護の娘で気の強い詮子を演じている星由里子氏もなかなかよい感じです。これまでのところは、名作との評判に偽りはないようで、今後は、中だるみや大河ドラマでしばしば見られる後半の失速がないことを願っていますが、逆境から大勢力圏を築いた直後に討ち死にする、という展開から考えると、それも杞憂に終わるのではないか、と期待しています。
将門は伯父の国香に仲人を申し込み、この縁談をまとめれば所領争いも解決するのではないか、と考えた国香は、さっそく源護の館を訪れます。ところが、護はすでに小督と貞盛との関係に気づいていたのか、小督と貞盛との婚姻を考えている、国香に返答し、国香は困惑します。館に戻った国香は、娘を連れて館を訪れていた弟の良兼に相談します。ここで将門は、良兼の娘である良子に出会い、その明るさに好感を持ちます。後に二人が夫婦となることの伏線なのでしょう。
国香と良兼は、将門が官位を得れば小督との結婚を考えないでもない、との護の考えを将門に伝え、貞盛とともに数年の間都で過ごすよう将門に勧めます。もちろんこれは、将門がいない間に、良将から将門へと引き継がれるはずの所領の押領を確たるものにしよう、との意図があってのことなのでしょう。帰宅した将門は、母・弟・郎党たちに、上京すべきか否か相談し、弟2人や郎党たちの進言もあり、上京を決意します。一方貞盛は、もともと都での生活に憧れており、進んで上京を決意します。貞盛は、父の国香と叔父の良兼を前に、官位は進物、つまり賄賂で決まる、と堂々と述べ、国香と良兼は呆れるとともに貞盛の器量に感心した様子も見せます。
この貞盛の割り切った性格と要領のよさは将門と対照的で、それは小督との関係にも表れています。一途に小督を想い、目上の人物に素直に従う将門にたいし、貞盛は、将門と小督との関係を知りつつも、小督を強く責めることはなく、関係を続けます。また、貞盛は小督の前で都への憧れを率直に語り、小督に執着していないかのような様子を見せます。貞盛は小督との関係を2年以上続けており、小督への執着は強いのでしょうが、それでも飄々と振舞っているのは、性格だけではなく色男としての自負もあるからなのでしょう。こうした貞盛の心理は、将門にはとうてい理解できるものではなく、後に両者が決別するにいたる要因の一つとして、性格とそれに起因する価値観の違いもあるのだと思います。小督は、父や姉たちに問い質されて、将門も好きと答えて屈託のない様子を見せるなど、小悪魔的なところがあり、多岐川裕美氏の魅力がよく表れています。
上京した将門は、まだ都の様子を詳しく知らないため、都の繁栄に強く心を惹かれてしまいます。都の市では、商売とともに見世物も行なわれており、そうした人々のなかに、螻蛄婆や美濃がいて、螻蛄婆と通じており、人望を集めている人物として、藤原純友がいます。今回は、自分から物を盗ろうとしたスリとその一味を豪快に倒していく将門を、純友と螻蛄婆が興味深く見ているだけで終わり、今回新たに登場した重要人物たちと将門との直接の接触はありません。次回への話の期待の持たせ方という点で、この作品はなかなか優れており、これは脚本・演出面での功績でしょう。
演技面でも、相変わらずおおむね満足いくものとなっており、今回初登場となった純友役の緒形拳氏の演技はやはり期待がもてそうですし、平国香役の佐野浅夫氏・平良兼役の長門勇氏・源護役の西村晃氏の演技は安定しており、安心して見ていられます。飄々とした貞盛を演じている山口崇氏はまさに適役ですし、護の娘で気の強い詮子を演じている星由里子氏もなかなかよい感じです。これまでのところは、名作との評判に偽りはないようで、今後は、中だるみや大河ドラマでしばしば見られる後半の失速がないことを願っていますが、逆境から大勢力圏を築いた直後に討ち死にする、という展開から考えると、それも杞憂に終わるのではないか、と期待しています。
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