大河ドラマ『風と雲と虹と』第9回「火雷天神」
重病を患っていた貴子が命をとりとめ、回復に向かったことを確認した将門は、貴子へ援助を続け、荒れ屋敷を修繕させます。その後、貴子には会おうとしなかった将門ですが、貴子の乳母が必死に懇願したので、将門は貴子と会います。有望そうな人間をなんとしても逃さないようにと必死な乳母を、奈良岡朋子氏が好演しています。その後も貴子の館に通い続ける将門の様子を、純友や螻蛄婆や美濃や玄明たちは見守り続けます。
病気の回復した貴子は、乳母・将門とともに、菅原道真を祭った火雷天神へとお参りに行きます。第7回
https://sicambre.seesaa.net/article/200910article_19.html
にて、火雷天神への民衆の信仰の篤さを乳母が貴子に語っています。一行は巫女の宣託を受け、東国の男の開く道を行け、と告げられた貴子は喜びます。どうも、乳母が巫女に根回しをしたようにも見えます。火雷天神からの帰り道、貴子・乳母・将門は貞盛と遭遇します。貞盛は、国許に待つ人のいる身だから、浮気も大概にしろよ、と将門に冗談めかして忠告しますが、それを聞いた貴子の様子がおかしくなります。自宅へ戻った貴子は、あなたはひどい方です、と将門に言い放って部屋に入り、泣き崩れます。貴子は乳母以外とほとんど会わず、引き篭もっているような状況ということもあり、情緒不安定なところがありますが、貴子の将門への好意が本物だということでもあるのでしょう。いつものことながら、貴子を演じる吉永小百合氏の美しさには本当に感心します。
その夜、貞盛が将門を訪ねてきて、除目に備えているか、と尋ねますが、将門は除目が目前に迫っていることを忘れています。将門は、貴子への援助を続けているということもあり、要所への進物が滞っているのですが、そんな将門の様子を見て、貞盛は呆れます。貞盛は、将門が貴子とまだ結ばれていないことを知り、自分だったら放ってはおかない、残念がります。貞盛は、貴子を大事にしろとか、小督に義理立てする必要はないとか、将門のことが好きだとか言うなど、複雑な心境を見せます。貞盛は、恋仲にあった小督が一夜だけとはいえ将門と結ばれたことに心穏やかではないはずですが、将門への友情も貞盛にとって真実であり、そのような貞盛の複雑な心理を、山口崇氏は好演しています。
除目では、貞盛は官位を得たのにたいして、将門は得られませんでした。覚悟はしていたものの、やはり将門の心は穏やかではありません。郎党の進言にしたがい、貴子を訪ねた将門は、楽しい時を過ごします。そこへ、将門を訪ねて貞盛がやって来ます。当惑する将門ですが、貴子の乳母は、貞盛を部屋へと案内します。貴子の幸せを願う乳母には、有望そうな男性なので関係を築いておきたい、との思惑もあるのでしょう。将門は不安を抱きますが、その予感は後に的中することになります。
今回は、将門と貴子との恋が主題となって話が展開していきましたが、玄明と武蔵の関係をめぐる物語も進展していきます。かつて配下の季光を将門に殺された武蔵は、同じく自分の配下で季光の兄の季重とともに、将門の命を狙い続けます。それを玄明が阻止しようとするのですが、玄明と武蔵の間に、両者ともまだ気づいていない関係があることが示唆されます。主人公以外の人物にも物語性があり、今のところそれが本流を邪魔していないあたりは、話の構成が優れているな、と思います。今後の玄明と武蔵との関係も楽しみです。
病気の回復した貴子は、乳母・将門とともに、菅原道真を祭った火雷天神へとお参りに行きます。第7回
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にて、火雷天神への民衆の信仰の篤さを乳母が貴子に語っています。一行は巫女の宣託を受け、東国の男の開く道を行け、と告げられた貴子は喜びます。どうも、乳母が巫女に根回しをしたようにも見えます。火雷天神からの帰り道、貴子・乳母・将門は貞盛と遭遇します。貞盛は、国許に待つ人のいる身だから、浮気も大概にしろよ、と将門に冗談めかして忠告しますが、それを聞いた貴子の様子がおかしくなります。自宅へ戻った貴子は、あなたはひどい方です、と将門に言い放って部屋に入り、泣き崩れます。貴子は乳母以外とほとんど会わず、引き篭もっているような状況ということもあり、情緒不安定なところがありますが、貴子の将門への好意が本物だということでもあるのでしょう。いつものことながら、貴子を演じる吉永小百合氏の美しさには本当に感心します。
その夜、貞盛が将門を訪ねてきて、除目に備えているか、と尋ねますが、将門は除目が目前に迫っていることを忘れています。将門は、貴子への援助を続けているということもあり、要所への進物が滞っているのですが、そんな将門の様子を見て、貞盛は呆れます。貞盛は、将門が貴子とまだ結ばれていないことを知り、自分だったら放ってはおかない、残念がります。貞盛は、貴子を大事にしろとか、小督に義理立てする必要はないとか、将門のことが好きだとか言うなど、複雑な心境を見せます。貞盛は、恋仲にあった小督が一夜だけとはいえ将門と結ばれたことに心穏やかではないはずですが、将門への友情も貞盛にとって真実であり、そのような貞盛の複雑な心理を、山口崇氏は好演しています。
除目では、貞盛は官位を得たのにたいして、将門は得られませんでした。覚悟はしていたものの、やはり将門の心は穏やかではありません。郎党の進言にしたがい、貴子を訪ねた将門は、楽しい時を過ごします。そこへ、将門を訪ねて貞盛がやって来ます。当惑する将門ですが、貴子の乳母は、貞盛を部屋へと案内します。貴子の幸せを願う乳母には、有望そうな男性なので関係を築いておきたい、との思惑もあるのでしょう。将門は不安を抱きますが、その予感は後に的中することになります。
今回は、将門と貴子との恋が主題となって話が展開していきましたが、玄明と武蔵の関係をめぐる物語も進展していきます。かつて配下の季光を将門に殺された武蔵は、同じく自分の配下で季光の兄の季重とともに、将門の命を狙い続けます。それを玄明が阻止しようとするのですが、玄明と武蔵の間に、両者ともまだ気づいていない関係があることが示唆されます。主人公以外の人物にも物語性があり、今のところそれが本流を邪魔していないあたりは、話の構成が優れているな、と思います。今後の玄明と武蔵との関係も楽しみです。
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