人類進化─新たな謎

 国立科学博物館が刊行している『milsil(ミルシル)』という雑誌の2009年第5号の特集は、「人類進化─新たな謎」です。
http://www.kahaku.go.jp/userguide/book/milsil/index.html

 この雑誌の存在は、色々とお世話になっている方からご教示いただきました。内容は、
海部陽介「人類進化の系統樹」
諏訪元「最初の人類を求めて」
「絶滅した人類のなかまたち」
デビッド=ロルドキパニゼ「アフリカを出た最初の人類」
馬場悠男「ホモ・フロレシエンシスの発見と謎」
近藤修「ネアンデルタール人の謎」
となっています。

 それぞれの記事は2~3ページで、一般向けの雑誌だけに、深く掘り下げられているわけではありませんが、これまであまり古人類学に関心のなかった人々にも分かりやすい、良質な記事がそろっていると思います。興味深いのは、周口店のホモ=エレクトスをホモ=ペキネンシスと分類する見解が紹介されていることで、総合説の成立以降、種区分に関してはランパー(統合派)が優勢な感がありましたが、その後の古人骨の発見の増加もあって、近年ではスプリッター(分割派)が優勢なのかな、とも思います。特集記事以外にも、綿野泰行「遺伝子の多様性を理解する」は、進化の仕組みを理解する手助けとなる良質な記事だと思います。最近まで知りませんでしたが、一般向け啓蒙雑誌としては、『milsil(ミルシル)』はたいへん良心的だと思います。

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