大河ドラマ『風と雲と虹と』第4回「筑波の楓」
将門は陸奥に戻り、父の良将と再会します。良将は佗田真樹より兄の国香からの書状を受け取り、将門が原因になった(ということにされてしまった)源護一族との諍いの件を知ります。良将は佗田真樹に、護に進物を贈るよう国香に伝えよ、と指示します。良将は、これは賄賂なので、正義感の強い将門には知らせないよう、佗田真樹に頼みます。良将の勧めにしたがい、国香は進物を携えて護を訪ねますが、護のほうも平氏との提携を考えており、両者はあっさりと和解します。二人の対面は、いかにも腹黒い者同士の会話といった感じで面白いのですが、この二人を演じる西村晃氏と佐野浅夫氏が、後に水戸黄門の二代目と三代目を演じることになるとは、当時の視聴者には思いもよらなかったことなのでしょう。
その良将が病に倒れ、良将の屋敷の庭には、良将の回復を願う民人が集まります。その甲斐もなく、良将は亡くなってしまうのですが、死の間際に、人々とともに生きよ、と将門に言い残します。良将の死を将門から知らされた民人は嘆き悲しみ、良将が民人から慕われていたことがうかがえます。この良将の生き様と遺言は、将門の生き方に大きく影響を与えるとともに、将門の伯父である国香・良兼との違いを印象づけ、後の将門と国香・良兼との争いが必然的だったことを示唆しています。
将門は母と弟の暮らす豊田の館に帰り、葬儀の前にまず大雨への対策を陣頭で指揮し、人々とともに生きよとの良将の遺言にしたがって暮らしていきます。大雨対策がひとまず落ち着いた後に、良将の葬儀が行なわれます。葬儀後の一族の会合において、国香は将門を半人前扱いして主導権を握ろうとしますが、同じく将門の叔父の良兼と伯父の良文は、将門の器量を認め、国香は不満気な表情を見せます。良兼は、いかにも親切な叔父のように見えますが、じつはそうではなく、良将の所領を狙っていたことがこの後に国香から語られています。人がよさそうに見えて、じつは腹黒いという人物を長門勇氏は好演しており、視聴前の期待通りの演技を見せてくれています。いっぽう、良文は本心から将門を心配しているようですが、その本心はまだよく分かりません。もう一人の伯父である良正は、ずっと不満そうな表情をしており、将門に好意をもっていないことが明らかです。
葬儀からしばらく経った後、国香は良将から預かった所領の手形を将門に渡しますが、それを検証した将門の母と良将の古くからの家臣は、足りない所領があることに気づきます。それを問い質しに、常陸の国府まで国香を訪ねた将門ですが、国香は将門の人のよさを利用して、風邪をひいたふりをしてごまかそうとします。将門の苦境を知ったのか、貞盛は母(国香の妻)を連れてきます。妻には仮病がすっかり見抜かれており、将門に同情的な妻に強要されて、国香は将門と面会しますが、ここでも国香は、将門には覚えのない馬の贈与などを理由に、良将から所領を譲り受けた、とごまかします。
国香から、国府に保管されている土地台帳を調べてみよ、と言われた将門ですが、国府の書類の管理は杜撰で、将門は目的の台帳を見つけることができません。国府からの帰りの途中、将門は筑波の歌垣で結ばれた姫を見かけます。小督を追った将門は、都へ向かう途中だという鹿島玄明と出会います。玄明から、この姫が源護の三女で小督だと知らされた将門は、どうしたら小督と再び結ばれるのか、貞盛に相談します。小督と恋仲にある貞盛は、将門が筑波の歌垣で小督と結ばれたこと、将門が今でも小督を強く想っており、結婚するつもりであることを知り、動揺します。しかし、色男としての誇りと将門への友情からか、自分と小督の関係は伏せ、将門のために歌を作ってやり、屋敷への忍び方まで指南してやります。
恋愛に関してだけではなく、民人ともに最前線で働く将門を、当主のやることでない、と貞盛が批判するなど、対照的でありながらも友情で結ばれている二人の関係はじつに面白く、この二人が後に対立することが、悲劇的であるとともに不自然ではないように見せることに成功しているのではないか、と思います。原作は未読なので、あるいは原作の功績なのかもしれませんが、両者の関係の描写については、脚本の功績も大きいのではないか、と思います。護の館に忍び込んだ将門ですが、もう少しで小督の部屋にたどりつくというところで、護に見つかってしまいます。
今回はこれで終了ですが、続きが見たくなる出来になっており、名優たちの好演だけではなく脚本のよさも、この作品の質を高めているのでしょう。これまでのところは、撮影技術や特撮技術の拙さと、主役の演技力に不満はありますが、前者は時代的に仕方のないところがありますし、後者についても、存在感と愚直さはよく表現できているように思われますから、総合的には『風林火山』の序盤と同等以上の面白さです。今後の視聴もたいへん楽しみです。
その良将が病に倒れ、良将の屋敷の庭には、良将の回復を願う民人が集まります。その甲斐もなく、良将は亡くなってしまうのですが、死の間際に、人々とともに生きよ、と将門に言い残します。良将の死を将門から知らされた民人は嘆き悲しみ、良将が民人から慕われていたことがうかがえます。この良将の生き様と遺言は、将門の生き方に大きく影響を与えるとともに、将門の伯父である国香・良兼との違いを印象づけ、後の将門と国香・良兼との争いが必然的だったことを示唆しています。
将門は母と弟の暮らす豊田の館に帰り、葬儀の前にまず大雨への対策を陣頭で指揮し、人々とともに生きよとの良将の遺言にしたがって暮らしていきます。大雨対策がひとまず落ち着いた後に、良将の葬儀が行なわれます。葬儀後の一族の会合において、国香は将門を半人前扱いして主導権を握ろうとしますが、同じく将門の叔父の良兼と伯父の良文は、将門の器量を認め、国香は不満気な表情を見せます。良兼は、いかにも親切な叔父のように見えますが、じつはそうではなく、良将の所領を狙っていたことがこの後に国香から語られています。人がよさそうに見えて、じつは腹黒いという人物を長門勇氏は好演しており、視聴前の期待通りの演技を見せてくれています。いっぽう、良文は本心から将門を心配しているようですが、その本心はまだよく分かりません。もう一人の伯父である良正は、ずっと不満そうな表情をしており、将門に好意をもっていないことが明らかです。
葬儀からしばらく経った後、国香は良将から預かった所領の手形を将門に渡しますが、それを検証した将門の母と良将の古くからの家臣は、足りない所領があることに気づきます。それを問い質しに、常陸の国府まで国香を訪ねた将門ですが、国香は将門の人のよさを利用して、風邪をひいたふりをしてごまかそうとします。将門の苦境を知ったのか、貞盛は母(国香の妻)を連れてきます。妻には仮病がすっかり見抜かれており、将門に同情的な妻に強要されて、国香は将門と面会しますが、ここでも国香は、将門には覚えのない馬の贈与などを理由に、良将から所領を譲り受けた、とごまかします。
国香から、国府に保管されている土地台帳を調べてみよ、と言われた将門ですが、国府の書類の管理は杜撰で、将門は目的の台帳を見つけることができません。国府からの帰りの途中、将門は筑波の歌垣で結ばれた姫を見かけます。小督を追った将門は、都へ向かう途中だという鹿島玄明と出会います。玄明から、この姫が源護の三女で小督だと知らされた将門は、どうしたら小督と再び結ばれるのか、貞盛に相談します。小督と恋仲にある貞盛は、将門が筑波の歌垣で小督と結ばれたこと、将門が今でも小督を強く想っており、結婚するつもりであることを知り、動揺します。しかし、色男としての誇りと将門への友情からか、自分と小督の関係は伏せ、将門のために歌を作ってやり、屋敷への忍び方まで指南してやります。
恋愛に関してだけではなく、民人ともに最前線で働く将門を、当主のやることでない、と貞盛が批判するなど、対照的でありながらも友情で結ばれている二人の関係はじつに面白く、この二人が後に対立することが、悲劇的であるとともに不自然ではないように見せることに成功しているのではないか、と思います。原作は未読なので、あるいは原作の功績なのかもしれませんが、両者の関係の描写については、脚本の功績も大きいのではないか、と思います。護の館に忍び込んだ将門ですが、もう少しで小督の部屋にたどりつくというところで、護に見つかってしまいます。
今回はこれで終了ですが、続きが見たくなる出来になっており、名優たちの好演だけではなく脚本のよさも、この作品の質を高めているのでしょう。これまでのところは、撮影技術や特撮技術の拙さと、主役の演技力に不満はありますが、前者は時代的に仕方のないところがありますし、後者についても、存在感と愚直さはよく表現できているように思われますから、総合的には『風林火山』の序盤と同等以上の面白さです。今後の視聴もたいへん楽しみです。
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