小林一岳『日本中世の歴史4 元寇と南北朝の動乱』

 吉川弘文館より2009年8月に刊行されました。鎌倉後期~南北朝の動乱を、社会全体の状況とからめて叙述し、この時期の政治情勢の変動が、社会の変化に対応するものであることが説明されています。もちろん、どの時代の政治情勢もそうなのでしょうが、それを社会の変動と関連させて因果関係を説明することは、それほど容易なことではないと思います。

 本書のような一般向け通史では、鎌倉幕府の滅亡で区切られることが多いので、本書のように、鎌倉時代後期~観応の擾乱までを一巻としてまとめられている例は珍しいかもしれません。また、一般向け通史では南北朝時代は一冊にまとめられることが多いので、その意味でも、やや異色の時代区分と言えるかもしれません。元寇についての記述など、疑問の残る点も多いのですが、全体的に本書は、先行研究を参照しつつ手堅い構成になっている、と思います。

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