大河ドラマ『風と雲と虹と』第2回「恋あらし」

 将門は陸奥から帰郷し、母や二人の弟と再会し、楽しい時間を過ごします。将門自身は当初は気づいていなかったようですが、鎮守府将軍として陸奥に赴任している良将が、おそらくは留守の間に妻(将門の母)からの知らせにより、兄の国香に管理を委ねていた自らの所領が押領されているのではないかと疑いを抱いたため、将門に真相を探らせようとしたのでしょう。

 正直で無骨な若者として成長した将門は、国香を訪れても押領についてはいっさい触れず、国香の子で幼馴染である貞盛(太郎)との再会を喜びます。正直で無骨な将門の性分では、親族の裏切りはにわかには信じがたいとうことと、それとなく押領を訊くような芸当はとても無理だった、ということなのでしょう。この様子を見た国香は安堵します。

 貞盛は将門と対照的な、要領のよい色男として描かれ、とにかく女性にもてます。色男の貞盛は、将門を筑波の歌垣(嬥歌)に誘い、将門にも異性のことでよい思いをさらようとします。将門と貞盛の二人は対照的でありながら、互いに相手を親友と認めているようで、なかなか面白い関係です。歌垣が始まっても、要領よく女性と親しくなる貞盛とは対照的に、将門はその場に馴染めません。まるで、合コンですっかり浮き上がっている喪男のようで、深く共感してしまいます(笑)。

 ところが、そんな将門は、歌垣の始まる前に知り合った鹿島玄道から強引に迫られていた女性を救い、その女性と結ばれます。今回この女性の名前は明かされませんでしたが、この女性は小督といい、貞盛と恋仲にあり、後に貞盛の妻となります。この歌垣での貞盛の最大の目的は、小督との逢瀬だったようです。小督はどこかの姫君ではないかと将門は言っていましたが、有力者の源護の娘であり、源護は後に将門をめぐる争乱に深く関わることになります。小督を演じる多岐川裕美氏は、小悪魔的な美しさを見せてくれて、今後も期待できそうです。

 今回は、鹿島玄道と将門が、喧嘩をしつつもお互いを認め合うようになったり、第1回で将門が出会った謎めいた人物が鹿島玄明といい、玄道の弟であることが判明したり、源護の息子である扶が、妹の小督と貞盛との関係に怒って(これは次回に明らかになりますが)貞盛を襲撃しようとしたり、国香の家臣の佗田真樹が将門に貞盛との友情を保ってほしいと述べたりと、重要人物がじょじょに将門と関係を持ち始めて、今後上手く話がつながっていくのではないか、と期待しています。佗田真樹役の藤巻潤氏は、実直な感じの真樹を好演しており、今後の演技も楽しみです。

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