3万年前頃の染色された亜麻繊維

 グルジアで発見された、3万年前頃の亜麻繊維についての研究(Kvavadze et al., 2009)が公表されました。グルジアのコーカサス山麓の丘に位置する‘Dzudzuana’洞窟の上部旧石器層から発見された野生の亜麻繊維は、紡がれ、黒・灰・青緑・桃色などに染色され、結び目も認められました。‘Dzudzuana’洞窟は、32000~26000年前、23000~19000年前、13000~11000年前という何度かにわたって断続的に人類に利用されていました。

 紡がれた野生の亜麻繊維は、石器に柄を取りつけたり、籠を編んだり、衣服を縫ったりするさいに用いられた、と考えられます。また、動物の毛・カツオブシムシや蛾・繊維に発生することがわかっている真菌の遺骸も発見され、これらは採集狩猟民が毛皮・皮・布を加工していたことの証拠として解釈できる、ともされています。要約を読んだかぎりでは人骨の共伴がないようですが、まずまちがいなくホモ=サピエンス(現生人類)の所産でしょう。


参考文献:
Kvavadze E. et al.(2009): 30,000-Year-Old Wild Flax Fibers. Science, 325, 5946, 1359.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1175404

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    Excerpt: これは9月17日分の記事として掲載しておきます。人類の衣服についての見解が報道されました。寒冷な地域へといたるその生息範囲から考えても、人類がすでに更新世の頃に衣服を着用していたのは間違いありませんが.. Weblog: 雑記帳 racked: 2013-09-15 19:04