民主党圧勝?

 最近の大手新聞社の情勢分析によると、間近に迫った衆院選で民主党が300議席を超えそうとのことで、民主党が300議席を超えるという予想は荒唐無稽だと考えていただけに、本当に驚いています。曖昧な記憶に頼っており、しっかりと検証したわけではないので、あるいは的外れなことを述べているかもしれませんが、近年では、公示後の大手新聞社の国政選挙の予想が大きく外れることはそうはなく、私の記憶では、橋本首相が退陣することになった1998年の参院選が唯一の例外です。このときは、自民党優勢が伝えられながら、自民党は過半数を大きく下回る議席しか獲得できませんでした。

 そうすると、民主党の単独過半数はもはや話題にならず、民主党が300議席を超えるかどうかが焦点となります。自民党と民主党は、前回の衆院選とは立場が正反対になりそうです。この予想通り民主党が独り勝ちするとしたら、その要因は自民党にたいする忌避感なのでしょうが、勝ち馬に乗り遅れるなとの心理が働いているとも考えられ、このような一政党への一方的な流れは、日本社会の活力の低下を示しているとも言えるでしょう。もっとも、小選挙区制度では得票差以上に議席数の差が開くことが多く、前回の衆院選にしても、議席数の差から受ける印象ほどには、得票差が開いたわけではありません。その意味では、議席数だけではなく、得票差、とくに比例区でのそれに注目すべきで、議席数の差だけで、国民が一方向に流された、と判断するのは危険なのでしょう。

 このように民主党独り勝ち(あくまでも議席数が基準ですが)の世論が築かれるにあたって、マスコミの果たした役割が大きいことは否定できないでしょう。また、前回のいわゆる「郵政選挙」でも、マスコミの果たした役割が大きいのは間違いないところです。熱心な民主党支持者の一部のなかには、前回の「郵政選挙」での自民党の圧勝は「マスゴミ」の偏向報道によるものだ、と主張している人が少なからずいて、確かに前回の衆院選での自民党圧勝の一因はマスコミ報道にありますが、今回の民主党圧勝の一因もマスコミ報道にある、と言うべきでしょう。

 それにも関わらず、「マスゴミ」などと言って粋がっている熱心な民主党支持者の一部のなかには、「マスゴミ」が民主党を潰そうとしている、と考えている人もいるようです。民主党が与党となったら、これまで以上に厳しく批判されることになるわけですが、与党とはそのような立場の存在なのであり、一部の民主党支持者の「マスゴミ」批判は、的外れと言うべきでしょう。その意味で、熱心な民主党支持者の一部とは正反対の立場にいる、安倍政権や麻生政権の熱心な支持者の一部の、「マスゴミの偏向報道」が「愛国的な」安倍政権を潰し、麻生政権を潰そうとしている、との見解も論外だと言うべきでしょう。「マスゴミ」には騙されるな、などと言って粋がっている人のなかには、知的水準の低い人が多そうで、そうした人たちは、「マスゴミ」とやらに騙されなくても、他の何かに騙されるのだと思います。

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