石器時代の接着剤?

 中期石器時代に接着剤が精製されていた可能性と、当時の人類の知的能力について論じた研究(Wadley et al., 2009)が報道されました。中期石器時代のアフリカ南部では、植物の樹液を混ぜた赤いオーカーから作られた高性能の合成接着剤が用いられていて、このような複雑なものを作るには抽象的思考が必要だったのではないか、とこの研究では示唆されています。

 このように、中期石器時代における行動の「現代性」を指摘する見解が増えてきています。今後、中期石器時代における「現代的行動」を示唆するような研究が、さらに増えていくことでしょう。おそらく、中期石器時代のアフリカのホモ=サピエンス(現生人類)は、現代人のようにもちろん個体差はあるにしても、潜在的な知的資質は、基本的には現代人と変わらなかった可能性が高いのでしょう。そうすると、現代人と基本的には変わらない潜在的な知的資質の人類がいつ頃登場したのか、ということが問題になるのですが、この検証はなかなか難しそうです。


参考文献:
Wadley L. et al.(2009): Implications for complex cognition from the hafting of tools with compound adhesives in the Middle Stone Age, South Africa. PNAS, 106, 24, 9590-9594.
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.0900957106

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