アフリカ人の祖先と多様性

 アフリカ人の祖先とその多様性についての研究(Tishkoff et al., 2009)が公表されました。この研究では、アフリカ人・アフリカ系アメリカ人・非アフリカ人の遺伝的多様性が比較されました。その結果、現代アフリカ人は14の祖先集団から進化し、それは文化・言語的分類と合致していたことが分かりました。また、ほとんどの集団には高水準の混合が認められ、アフリカ大陸で移住が繰り返されたことを反映している、と考えられます。アフリカ系アメリカ人は、アフリカ西部のニジェール-コルドファン語族(~71%)・ヨーロッパ系(~13%)・他のアフリカ系(~8%)集団に由来することが分かりました。

 この研究から、アフリカ人およびアフリカ系アメリカ人の進化史に関する情報を得られただけでなく、遺伝疫学など異なる分野の多数の研究にとっても、基盤となる情報を得ることができた、と言えそうです。今後、さらに規模を拡大してこのような研究が進めば、非アフリカ系集団も含めて人類史のより詳細な復元が可能になりそうで、大いに期待されます。


参考文献:
Tishkoff SA. et al.(2009): The Genetic Structure and History of Africans and African Americans. Science, 324, 5930, 1035-1044.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1172257

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