石澤良昭『興亡の世界史11 東南アジア 多文明世界の発見』

 講談社の『興亡の世界史』シリーズ18冊目となります(2009年5月刊行)。東南アジア史の概観も述べられているとはいえ、表題とは異なり、実質的にはアンコール王朝の政治・経済・社会・文化史となっており、筆者がアンコール王朝の専門家であるいじょう仕方のないこととはいえ、やや問題のある表題だったと思います。「東南アジア 多文明世界の発見」は副題とし、「アンコール王朝の興亡」を表題とするか、複数の著者による分担執筆とするほうがよかったのではないでしょうか。

 もっとも、アンコール王朝の政治・経済・社会・文化史だけでも、多文明世界をみてとれるので、表題に偽りありとまでは言えないかもしれません。残念なのは、東南アジアという概念の成立とその意味について、あまり説明がなかったことです。現在の日本では、東南アジアという概念がすっかり定着した感がありますが、東南アジアの歴史を語るにあたって、この概念の成立過程を避けて通れないと思います。

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