大井功『「チベット問題」を読み解く』
祥伝社新書の一冊として、祥伝社より2008年に刊行されました。チベット問題について包括的に論じられており、日本語で読めるチベット問題の入門書としては、現時点ではもっとも優れているように思います。それだけに、もっと深く知りたいという読者のために、索引はよいとしても、専門書も含んだ参考文献一覧を掲載すべきだったと思います。
たとえば、新書という形式上仕方のないところもあるとはいえ、本書ではチベットの歴史的変遷についてはあまり触れられていません。中国がなぜチベットを歴史的に不可分の領土と主張するのか、中国におけるナショナリズムの創出・変容ともからめてチベットの歴史を見ていけば、色々と興味深いことも分かるのではないでしょうか。チベット問題について論じた新書でそうした経緯の詳細を書くことも難しいでしょうから、簡単な解説をつけつつ、より詳しい書籍・論文を参考文献一覧で紹介していれば、もっと価値のある一冊になったのにと思うと、やや残念ではあります。
たとえば、新書という形式上仕方のないところもあるとはいえ、本書ではチベットの歴史的変遷についてはあまり触れられていません。中国がなぜチベットを歴史的に不可分の領土と主張するのか、中国におけるナショナリズムの創出・変容ともからめてチベットの歴史を見ていけば、色々と興味深いことも分かるのではないでしょうか。チベット問題について論じた新書でそうした経緯の詳細を書くことも難しいでしょうから、簡単な解説をつけつつ、より詳しい書籍・論文を参考文献一覧で紹介していれば、もっと価値のある一冊になったのにと思うと、やや残念ではあります。
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