世界最古の女性像?

 ドイツ南西部のホーレフェルス洞窟で発見された女性像が、世界最古のものである可能性を指摘した研究(Conard., 2009)が報道されました。ドイツ南西部にあるホーレフェルス洞窟のオーリニャック文化(オーリナシアン)層の最下部で発見された女性小立像は、女性的特徴が強調されており、暦年代で35000年前の製作と推定されています。

 これは、よく知られているグラヴェット文化(グラヴェティアン)期の女性像よりも少なくとも5000年以上古いとされ、旧石器時代の初期芸術についてのじゅうらいの見解を変えるものだ、とされています。ただ、オーリナシアンの起源が西アジアにあるとすると、こうした彫像の起源が西アジアにある可能性も考えられます。

 さらに、アフリカにおいて象徴的思考を示唆するような考古学的証拠がしだいに増加してきており、その年代が中期石器時代までさかのぼることと、アフリカにおける発掘がヨーロッパと比較してかなり貧弱であることを考えると、今後アフリカで5万年以上前の彫像が発見される可能性も考えられます。


参考文献:
Conard NJ.(2009): A female figurine from the basal Aurignacian of Hohle Fels Cave in southwestern Germany. Nature, 459, 248-252.
http://dx.doi.org/10.1038/nature07995

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