アフリカ西部の旱魃

 アフリカ西部の旱魃についての研究(Shanahan et al., 2009)が公表されました。アフリカ西部のサハラ砂漠南縁部に広がる半乾燥地域では、20世紀後半に大きな被害をもたらす旱魃がたびたび発生しました。この研究では、ガーナにあるボスムトゥイ湖の3000年間の堆積物の記録が分析されましたが、水文学的に閉鎖された湖盆であるボスムトゥイ湖は、局地的な降雨量に影響を受けやすく、湖の水量や堆積物の地質学的性質が影響を受けてきました。この分析の結果、アフリカ西部では過去3000年間、数十年から数百年も続く長期の深刻な大旱魃が、広範囲にわたってたびたび発生していたことが示されました。

 現在、サハラ砂漠以南のアフリカでは人口が急増し、人々はモンスーン降雨に大きく依存して農業や発電を行っています。しかし、今このような大旱魃が発生すると、それに対応する備えが十分整っていません。気候の温暖化により発生が予測される今後の乾期の影響を緩和するために、政策担当者は具体策と緊急時対応計画を迅速に検討すべきである、とこの論文の筆頭著者のシャナハン博士は述べています。長期の気候変動の復元や予測は現代科学の苦手とする分野でしょうが、このような研究の積み重ねが、今後の有効な対策になるのではないか、と期待されます。


参考文献:
Shanahan TM. et al.(2009): Atlantic Forcing of Persistent Drought in West Africa. Science, 324, 5925, 377-380.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1166352

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