荒川章二『日本の歴史第16巻 豊かさへの渇望』(2009年3月刊行)

 小学館『日本の歴史』16冊目の刊行となります。本書を読んで改めて痛感したのは、高度経済成長により日本社会が大きく変容したことです。対象基準が異なるので、たんじゅんな比較はできませんが、ある意味で、明治維新や第二次世界大戦での敗戦以上の、本質的で深い変容だったと言えるかもしれません。おそらく、この変容は不可逆的なものであり、高度経済成長以前の「伝統的」で「古き良き」日本に戻ることは、無理なのでしょう。

 2007年11月に刊行の始まった小学館『日本の歴史』も、この16巻で一応完結ということになりますが、この後に別巻として青木美智男『日本文化の原型』が刊行されることになります。本シリーズよりも1年近く前に刊行の始まった、講談社の『興亡の世界史』シリーズが、当初の予定から刊行が大きく遅れているのと比較すると、順調な刊行だったと言えそうです。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック