大河ドラマ『天地人』第16回「信玄の娘」

 一昨日放送分の感想です。御館の乱での功績により景勝から家老就任を打診された兼続ですが、御館の乱を惹き起こした責任をとり、上杉家から去ろうとします。しかし、景勝や重臣たちの説得を受けて、兼続は家老として上杉家にとどまる決心をします。欲のない主人公が主君や周囲の懇願により仕方なく高位に就くことを承知するという、陳腐な構成と言えます。

 御館の乱における兼続の最大の功績である、上杉と武田との和睦の証として、武田家から上杉家に嫁いできた菊姫は、武田を守ると約束はできない、と答える景勝に不信感を抱きます。景勝・菊姫夫婦の仲を案じた兼続は、説得して菊姫の心を開かせます。兼続の家老就任など上田衆の優遇にたいして家中には不満が鬱積しており、直江信綱が刺されるところで今回は終了です。それにしても、この作品の直江信綱はなんとも悲惨な役回りで、同情してしまいます。

 今回は、家康がはじめて登場しました。兼続にとって後半最大の敵となる家康がどのように描かれるのだろう、と注目していたのですが、田舎の農夫といった感があり、土着した者の素朴さ・したたかさが表れているような描写でした。ただ、秀吉もそうですが、後半最強の敵である天下人というには貫禄不足な感もあります。これは、まだ信長在世中だけに当然とも考えられるわけで、今後、どのように人物像が変化していくのか、注目しています。本多正信役の松山政路氏はなかなかの好演で、はまっていると思います。今後の出演が楽しみです。

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