12万年前の急速な海面上昇?
サンゴ礁化石の分析から、12万年前頃の海水面の上昇を示唆した研究(Blanchon et al., 2009)が報道されました。メキシコにある大幅に露出したサンゴ礁化石から得られた証拠より、サンゴ礁段丘の発達・浸食表面と海水準変動についての詳細な描像が得られました。ウラニウム系列による正確な年代測定と層序学的分析との組み合わせ、さらにはさまざまな場所でのサンゴ礁年代との比較も加えると、12万1000年前頃に海面が2~3メートル急激に上昇したことが示唆されました。これは、最終間氷期の末期の氷床が不安定化した時期と一致している、とのことです。ただ、この研究には批判的な見解もあります。
12万年前頃は、酸素同位体ステージでは5に相当し、現代よりも温暖な時期だったとされています。この時期に、現生人類はレヴァントまで進出したとされ、その要因として気候の温暖化が考えられています。一方、寒冷な気候に適応していたネアンデルタール人が、レヴァントから北方に退いた可能性も考えられます。気候だけが要因ではないにしても、現代にいたるまで、気候が人類の行動に大きな影響を与えていることは間違いなく、このように古気候の復元が進むことにより、人類史の研究も進展することが期待されます。
参考文献:
Blanchon P. et al.(2009): Rapid sea-level rise and reef back-stepping at the close of the last interglacial highstand. Nature, 458, 881-884.
http://dx.doi.org/10.1038/nature07933
12万年前頃は、酸素同位体ステージでは5に相当し、現代よりも温暖な時期だったとされています。この時期に、現生人類はレヴァントまで進出したとされ、その要因として気候の温暖化が考えられています。一方、寒冷な気候に適応していたネアンデルタール人が、レヴァントから北方に退いた可能性も考えられます。気候だけが要因ではないにしても、現代にいたるまで、気候が人類の行動に大きな影響を与えていることは間違いなく、このように古気候の復元が進むことにより、人類史の研究も進展することが期待されます。
参考文献:
Blanchon P. et al.(2009): Rapid sea-level rise and reef back-stepping at the close of the last interglacial highstand. Nature, 458, 881-884.
http://dx.doi.org/10.1038/nature07933
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