現生人類の起源と大学入試

 今年の東京大学の入試問題(前期・生物の第3問)にて、現生人類の起源についての遺伝学的な研究が取り上げられたそうです。この問題は、現生人類の起源の研究においてなぜミトコンドリアDNAが用いられるのか、基礎から理解する手がかりになるという意味で、古人類学に関心のある私からみると、なかなかの良問だと思います。もっとも、私は現在の高校生物の内容を把握しているわけではないので、その観点からは、あるいは不適切な問題になるのかもしれませんが。

 その判断の当否はさておくとして、この第3問は、ミトコンドリアDNAだけではなくY染色体も、現生人類の起源の遺伝学的研究に用いられることを受験生にはっきりと気づかせる契機になっています。大学入試の問題のほとんどは、すぐに受験生に忘れられてしまうのでしょうが、生物を選択した今年の東大受験生のなかから、この第3問を解いてみて現生人類の遺伝学的研究に興味をもち、将来この分野の研究者になる人が出てくればよいな、と思います。

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