小松裕『日本の歴史第14巻 「いのち」と帝国日本』(2009年1月刊行)
小学館『日本の歴史』14冊目の刊行となります。「いのち」に焦点が当てられたこの14巻では、近代日本において「いのち」を軽視された人々が取り上げられ、近代日本の様相が浮き彫りにされていきます。この14巻も13巻と同じく、栄光の近代日本という物語に陶酔したい人々にとっては大いに不満の残る内容となったでしょうし、政治・経済史の記述が少なすぎるのではないかといった点も含めて、一般向け通史としてはかなり偏った内容なのではないか、と私も思います。
しかし、近代化にともなう暗部のなかにはまだ一般には知られていないことも少なからずあり、そうした史実の紹介は、大日本帝国の多様な側面の一つ、さらにはその本質の一端を探るじゅうような手がかりになる、との意図が著者にはあるのかもしれません。じっさい、恥ずかしながら私もよく知らなかったようなことも紹介されており、このような一般向け通史が刊行される意義は、けっして小さくないだろう、とも思います。
小学館というと、本書で示されたような歴史観に否定的な人が少なくないのではないか、と思っていただけに、13巻に続いて14巻も大日本帝国の暗部を強調した内容になっていたのは意外でした。もっとも、小学館のような大出版社ともなれば、内部に多様な意見があって当然で、学術部門にはジャーナリズム部門とはかなり異なる思想信条の人が多いのかもしれません。
しかし、近代化にともなう暗部のなかにはまだ一般には知られていないことも少なからずあり、そうした史実の紹介は、大日本帝国の多様な側面の一つ、さらにはその本質の一端を探るじゅうような手がかりになる、との意図が著者にはあるのかもしれません。じっさい、恥ずかしながら私もよく知らなかったようなことも紹介されており、このような一般向け通史が刊行される意義は、けっして小さくないだろう、とも思います。
小学館というと、本書で示されたような歴史観に否定的な人が少なくないのではないか、と思っていただけに、13巻に続いて14巻も大日本帝国の暗部を強調した内容になっていたのは意外でした。もっとも、小学館のような大出版社ともなれば、内部に多様な意見があって当然で、学術部門にはジャーナリズム部門とはかなり異なる思想信条の人が多いのかもしれません。
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