「文明社会の夜明け~ホモ・サピエンス はるかなる旅~」

 NHKのBSハイビジョン『フロンティア』の『シリーズ人類史への正体』で放送された番組です。ドラマ仕立てで番組は進行していきますが、初期定住社会と移動型社会との関係について、やや図式的にすぎるというか、単純化されているのではないか、との疑念が残ります。また、定住社会以前にすでに交易が存在した可能性が高いことを考えると、交換という概念を非定住者が理解できていなかったかのような描写には疑問の残るところです。

 ドラマは、当時の社会を再現するためだけのものかと思ったのですが、ある一族(と言ってよいのか、疑問の残るところですが)が初期定住社会から文明社会にまで登場し、長期にわたる物語性があって楽しめたのは意外でした。このようなドラマ仕立てではなく、研究者へのインタビューを交えた構成のほうがずっとよかったのですが、一般向けの番組としては、こういう構成もさほど悪くはない、とも思います。ただ、全般に単純化が行き過ぎた感はありますが。

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