牧原憲夫『日本の歴史第13巻 文明国をめざして』(2008年12月刊行)
小学館『日本の歴史』13冊目の刊行となります。近代国家・文明国・国民の創出がいかになされたのか、さまざまな観点からその苦闘が描かれている一冊です。「近代化・文明化」がおおむね完成した社会で生まれ育った人間がほとんどを占める現在の日本列島において、自明のこととされる諸観念・生活様式の定着の具体的様相を知ることは、同時代にまだ存在する「近代化」に苦闘する世界を理解するにあたって、有益だろうと思います。
本書では、「近代化・文明化」が「国民」たるべき各個人に多大な精神的負担を強いるものであり、抵抗も根強かったことが強調されていますが、西欧とは異なる歴史的経過をたどった日本のみならず、本家の西欧でもそれは同様だったことについて、強調されてもよかったのではないかな、と思います。全体として、栄光の近代化という視点で幕末~明治前半の歴史を把握したい人にとっては大いに不満の残る構成となっているでしょうが、本書のような視点も強調されるべきであるとは思います。
本書では、「近代化・文明化」が「国民」たるべき各個人に多大な精神的負担を強いるものであり、抵抗も根強かったことが強調されていますが、西欧とは異なる歴史的経過をたどった日本のみならず、本家の西欧でもそれは同様だったことについて、強調されてもよかったのではないかな、と思います。全体として、栄光の近代化という視点で幕末~明治前半の歴史を把握したい人にとっては大いに不満の残る構成となっているでしょうが、本書のような視点も強調されるべきであるとは思います。
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