更新世末期の天体衝突?

 更新世末期の地球外物体の衝突が、ヤンガードリアスや大型動物絶滅の要因になったのではないか、と指摘した研究(Kennett et al., 2008)が報道されました。この研究では、北米大陸の更新世末期の堆積層で確認された大量のナノダイヤモンドは、彗星などの地球外物体の衝突という高エネルギー環境下で生成されたと考えるのが妥当だとされ、この衝突と、温暖化しつつあった更新世末期における寒の戻りであるヤンガードリアス期や、大型動物絶滅・クローヴィス文化の消滅が関係しているのではないか、とされています。

 更新世末期の北米大陸における大型動物の絶滅については、現生人類による過剰狩猟説や気候変動説が主張されていますが、この研究は環境激変説の根拠となるかもしれません。ただ、大量のナノダイヤモンドが地球外物体の衝突により生成された、との見解については疑問も呈されており、この研究で提示された仮説が支持されるには、さらなる検証が必要でしょう。


参考文献:
Kennett DJ. et al.(2009): Nanodiamonds in the Younger Dryas Boundary Sediment Layer. Science, 323, 5910, 94.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1162819

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