全生物の最終共通祖先
全生物の最終共通祖先(LUCA)についての研究(Boussau et al., 2008)が公表されました。LUCAが存在していたのは38~35億年前と考えられていますが、この時期の化石証拠が乏しいため、LUCAの生物学的特性や生息環境に関する情報は、間接的な証拠に頼るしかありません。
この研究では、現生生物のゲノムから得られる遺伝学的レベルの証拠に基づいて再現された祖先のタンパク質のアミノ酸配列から、当時の環境が高温でLUCAは好熱性であった、と示唆されています。しかし、リボソームRNAの塩基配列からは、それよりも温度の低い環境と一致する結果が得られています。
この見かけ上の不一致は、「分子温度計」という新しい方法によって解決できたようです。分子進化に関する最新の数理モデルを用いて、何百種もの現生種から得たrRNA塩基配列およびタンパク質アミノ酸配列の分析の結果、環境の温度変化には2つの段階があったことが示唆されました。LUCAのもとになった生物は当初は中温性で、約60℃の水に生息していましたが、その後70℃を超える高温に適応し、好熱性の共通祖先が生じました。この後、海洋が冷却されるにつれて、細菌および古細菌・真核生物が多様化したと考えられます。
参考文献:
Boussau B. et al.(2008): Parallel adaptations to high temperatures in the Archaean eon. Nature, 456, 942-945.
http://dx.doi.org/10.1038/nature07393
この研究では、現生生物のゲノムから得られる遺伝学的レベルの証拠に基づいて再現された祖先のタンパク質のアミノ酸配列から、当時の環境が高温でLUCAは好熱性であった、と示唆されています。しかし、リボソームRNAの塩基配列からは、それよりも温度の低い環境と一致する結果が得られています。
この見かけ上の不一致は、「分子温度計」という新しい方法によって解決できたようです。分子進化に関する最新の数理モデルを用いて、何百種もの現生種から得たrRNA塩基配列およびタンパク質アミノ酸配列の分析の結果、環境の温度変化には2つの段階があったことが示唆されました。LUCAのもとになった生物は当初は中温性で、約60℃の水に生息していましたが、その後70℃を超える高温に適応し、好熱性の共通祖先が生じました。この後、海洋が冷却されるにつれて、細菌および古細菌・真核生物が多様化したと考えられます。
参考文献:
Boussau B. et al.(2008): Parallel adaptations to high temperatures in the Archaean eon. Nature, 456, 942-945.
http://dx.doi.org/10.1038/nature07393
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