LB1の分類

 インドネシア領フローレス島のリアン=ブア洞窟で発見された人骨である、LB1の分類について論じた研究(Martinez, and Hamsici., 2008)が公表されました。LB1は、これをホモ属の新種フロレシエンシスとする見解においては、フロレシエンシスの正基準標本とされています。しかし、LB1は病変の現生人類だとする見解もあり、論争が続いています。

 この研究は、LB1の解剖学的特徴をベイズ最適区別式技術により分析し、LB1を人類進化史において位置づけ、分類しようとしています。頭蓋や下顎のデータ、コンピュータによりデータ処理された鋳型などを用いた分析結果が示しているのは、LB1は現生人類の範囲内に収まらず、初期ホモ属にもっともよく似ており、エレクトスと古い時期に祖先を共有していただろう、ということです。

 この研究からは、LB1は現生人類とは別系統に属し、かなり古い時期、おそらくは150万年以上前にエレクトスの祖先の系統と分岐した集団に属している、と考えられます。LB1をホモ属の新種フロレシエンシスとする見解が、この研究でも支持されたわけで、新種説派の優位は否定できないところだろう、と思います


参考文献:
Martinez AM, and Hamsici OC.(2008): Who is LB1? Discriminant analysis for the classification of specimens. Pattern Recognition, 41, 11, 3436-3441.
http://dx.doi.org/10.1016/j.patcog.2008.04.018

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