下部旧石器時代の石器と、人類の先見性・計画性
下部旧石器時代の遺跡として知られている、イスラエルのジスル=バノト=ヤコブの石器の分析から、当時の人類の行動と先見性・計画性を指摘した研究(Goren-Inbar et al., 2008)が公表されました。この研究で注目された石器は、ジスル=バノト=ヤコブ遺跡のアシューリアン(アシュール文化)大型削器です。
民族考古学や実験考古学やジスル=バノト=ヤコブよりも新しい石器の研究成果から、大型削器は、握斧や鉈状石器といった両面加工石器の製作過程における副産物である剥片から製作され、副産物である剥片は、後の大型削器の製作のためにとっておかれたのではないか、と推測されます。こうしたことからこの研究では、ジスル=バノト=ヤコブ遺跡の大型削器は、下部旧石器時代の人類の行動、とくに多面的な計画と先見性について理解する手がかりになるのではないか、とされています。
人類の先見性・計画性については色々と議論がありますが、ネアンデルタール人が残した遺物群からは、ネアンデルタール人にも一定水準以上の計画性・先見性があったことは間違いない、と言えるでしょう。そうすると、ネアンデルタール人と現生人類の共通祖先の段階で、すでにあるていどの計画性・先見性が存在した可能性は高く、その意味でも、この研究は注目されます。
参考文献:
Goren-Inbar N. et al.(2008): The Acheulean massive scrapers of Gesher Benot Ya‘aqov―a product of the biface chaîne opératoire. Journal of Human Evolution, 55, 4, 702-712.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jhevol.2008.07.005
民族考古学や実験考古学やジスル=バノト=ヤコブよりも新しい石器の研究成果から、大型削器は、握斧や鉈状石器といった両面加工石器の製作過程における副産物である剥片から製作され、副産物である剥片は、後の大型削器の製作のためにとっておかれたのではないか、と推測されます。こうしたことからこの研究では、ジスル=バノト=ヤコブ遺跡の大型削器は、下部旧石器時代の人類の行動、とくに多面的な計画と先見性について理解する手がかりになるのではないか、とされています。
人類の先見性・計画性については色々と議論がありますが、ネアンデルタール人が残した遺物群からは、ネアンデルタール人にも一定水準以上の計画性・先見性があったことは間違いない、と言えるでしょう。そうすると、ネアンデルタール人と現生人類の共通祖先の段階で、すでにあるていどの計画性・先見性が存在した可能性は高く、その意味でも、この研究は注目されます。
参考文献:
Goren-Inbar N. et al.(2008): The Acheulean massive scrapers of Gesher Benot Ya‘aqov―a product of the biface chaîne opératoire. Journal of Human Evolution, 55, 4, 702-712.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jhevol.2008.07.005
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